サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英、だけじゃない日本の論点。
“変則招集”を将来に繋げるために。
posted2019/05/28 11:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
キリンチャレンジカップ(KCC)とコパ・アメリカ(南米選手権)に挑む日本代表の6月シリーズで、最重要人物と目されるのは久保建英である。
所属するFC東京で周囲を納得させてきた彼にとって、今回の招集は日本代表に定着できるかどうかのサバイバルだ。
6月5日にトリニダード・トバゴと、9日にエルサルバドルと対戦する日本代表は、森保一監督の就任とともに構築されてきたチームの延長線上にある。3月以来の活動の主眼は、9月開幕予定のカタールW杯予選へ向けた強化だ。
コパ・アメリカのチームは、まったく異なる性格を帯びる。アジアサッカー連盟ではなく南米連盟主催の公式戦であり、国際Aマッチウィークに開催されないこの大会は、日本サッカー協会がクラブに優先して選手の拘束力を持てない。国内のJ1リーグも中断されない。
勝利を目指すメンバー構成ではない。
選手の招集に様々なハードルがあるなかで、森保監督は東京五輪世代を主体としたチーム編成に着地した。直前の2試合でロシアW杯以来の代表復帰を果たす川島永嗣と岡崎慎司に加え、植田直通、冨安健洋、柴崎岳、中島翔哉がKCCに続いて選出されているが、コパ・アメリカのメンバーには初代表の選手が13人も含まれる。
KCCで初めて日本代表に合流する大迫敬介、中山雄太、久保も、現時点では国際Aマッチ出場がない。昨年のテストマッチで招集を受けた伊藤達哉も、日本代表のピッチは未体験だ。
コパ・アメリカのホストを務めるブラジルは、ネイマールを筆頭にベストと言っていいセレクトをしている。アルゼンチンもリオネル・メッシがチームをけん引する。ウルグアイやチリも、主力を送り込んでくるだろう。
母国の威信を賭けた戦いでは、剥き出しの闘志がぶつかり合う。出場するすべての国は、アジアへ遠征して行うテストマッチとまったく違う表情を見せる。
海外組を交えたフルメンバーで参加しても、日本は苦戦は免れない。ウルグアイ、チリ、エクアドルとのグループリーグで、勝点1でもつかめたら評価できる大会である。川島、岡崎、柴崎らの経験者が支えになるとしても、東京五輪世代を大量招集した編成で勝利は望めない。