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カズ、ピクシーが信頼する名コーチ。
喜熨斗勝史の中国育成改革・前編。
posted2019/05/26 11:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Takuya Sugiyama
5月、楢崎正剛は中国・広州を訪ねた。訪問先で彼を待っていたのは、ピクシーことドラガン・ストイコビッチ。名古屋グランパスで2人は選手同士、そして選手と監督の間柄としても共闘してきた。今回、楢崎個人のある企画でピクシーと懐かしの話を振り返るべく、再会が実現した。
2人をつないだ人物がいる。喜熨斗勝史。サッカー界では、知られた名前かもしれない。
ちょうどピクシーが名古屋の監督に就任した2008年からフィジカルコーチ(以下、フィジコ)を務め、2014年にはコーチに昇格。2015年夏にピクシーが中国スーパーリーグの広州富力の指揮官になる際に、「一緒に来てほしい」と誘われ、今度はヘッドコーチとして海を渡り、今に至る。
喜熨斗をテレビでよく観る機会がある。
毎年12月、三浦知良が行う恒例のグアム合宿。厳しいメニューに汗を流すカズの横で、トレーニングを先導するのが、その人である。チームの活動と並行して、2004年からカズのパーソナルトレーナーを務めていることでも、サッカー界では知られている。
「グランパス時代以上に忙しそう」
中国に渡ってからも、楢崎とは何かあれば連絡を取っていたという。そして今回、ピクシーを含めた3人の再会となった。
帰国した楢崎は喜熨斗の印象をこう話していた。
「キノさん(喜熨斗の愛称)、グランパス時代以上に忙しそうだった。大変なことばかりと言っていたけど、やりがいもあるように見えたね」
無理もない。2015年途中から広州富力のヘッドコーチに就き、シーズンにして今季で5年目。激しい結果至上主義の中国において、監督が長期政権を築くのは難しいと言われている。その中で、ピクシー体制は現時点で中国内で最長を誇る。
さらに喜熨斗は2016年から、新たな役職をクラブ側から頼まれることになった。
「育成・アカデミー部門を設けたい。そのダイレクターになってほしい」