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アメリカ時代のコーチが感心した、
富樫勇樹のリーダーとしての成熟。
text by
永塚和志Kaz Nagatsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/19 11:45
ファイナルでは3本の3ポイントを含む19得点、6アシスト。今季のBリーグMVPにも輝いた富樫勇樹。
「彼の成熟した姿には驚かされた」
ガトリン氏は前日のシリーズ初戦を例に出した。例えばジェッツの攻撃時にブレックスがジェッツのバックコートから得意のプレスディフェンスをかけてきても、富樫は彼がパスを出しやすいところへ味方がポジションを取るように冷静に指示を与えていたと振り返った。
「彼の成熟した姿には驚かされたよ。チームメートたちとコミュニケーションを取ることに躊躇がない。昨日の試合だって序盤はやや重かったけど、それでも彼はチームをひとつにまとめていたし、何かうまくいかないことがあるとすかさず味方を呼び集めて円陣を組んでいた」(ガトリン氏)
富樫自身もガトリン氏に“当時”とは違うところを見せられたと喜んだ。
「それがこの5年ほどで自分が一番、成長したところなんじゃないかなと思います」(富樫)
ブレックスとの初戦には今季、NBAメンフィス・グリズリーズとの2ウェイ契約でプレイした渡邊雄太も来場していたが、ガトリン氏は彼とも言葉を交わしたそうだ(今季のGリーグプレイオフの1回戦で、渡邊のいるメンフィス・ハッスルがガトリン氏のストックトン・キングスを僅差で破っている)。
「ユーキがよければワタナベも」
NBAサクラメント・キングスへのスカウティングの役割も担うガトリン氏は、日本代表に渡邊や八村塁のような才能が出現したことで、今年の中国でのワールドカップなど、今後の日本代表の動向についても注視しているようだった。
ただ誰よりも気になる選手はもちろん、富樫だ。
「ワタナベが(代表で)プレイすることは当然、大きなこと。だけどやはり日本代表チームのリーダーはユーキなんだ。ユーキの出来がよければワタナベの力も引き上げられる。ユーキがペネトレーターとしてのスキルを発揮すれば、彼もよりオープンになる確率が上がるわけでもあるし」