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防御率12球団最下位の西武を救うか。
左キラーに生まれ変わった平井克典。 

text by

市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2019/05/16 10:30

防御率12球団最下位の西武を救うか。左キラーに生まれ変わった平井克典。<Number Web>

26名の左打者と対戦して被安打2、被打率は.077。ほぼ完ぺきに抑えている(5月12日時点)

唯一無二のスライダーと、選択肢。

 社会人時代までは、スライダーが平井の代名詞だった。過去、何人もの後輩に手取り足取り投げ方を教えたが、誰ひとりマスターできなかったという、鋭いスライダーを武器にプロ野球の門を叩いた。しかし、平井は言う。

「自信のあるボールが1つあっても、けっきょくプロの打者には対応されてしまう。選択肢の問題なんじゃないかと考えるようになりました。バッターが打席で待つときに、選択肢が真っ直ぐとスライダーの2種類なら2択。でも球種が増えれば3択になる。相手を迷わせることになります。3択、4択のほうが僕も手札が増えて楽だと考えるようになりました」

 今シーズン、平井は「70試合登板」を目標に掲げている。5月12日現在、17試合に登板し、リードしている場面はもちろん、リードを許している場面でも、そしてイニングをまたぐ展開でも何食わぬ顔でマウンドに向かう。

「ハイペースなんですかね? 単純計算すると1カ月に12試合くらいに登板すれば70。それを思えばそれほどハイペースだとは思っていません。タフさを売りにしているわけではなくて、僕は純粋に投げたいだけなんですよ。間をあけずに、なるべく投げたい」

 一抹の不安は登板試合数よりも、登板した試合で投げるボールの数が多いことか。苦しいチーム事情もあって、これからも平井の存在は重宝されるだろう。とはいえ、平井は生身の人間である。追随する投手の出現を期待したい。

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