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ユーベ監督が生放送でブチ切れ!
8連覇でも容赦ない伊メディア。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/05/17 11:00
リーグ8連覇を達成して選手とともに喜びあうアッレグリ。今季はC・ロナウドの加入で欧州制覇が期待されたが、CLは準々決勝で敗退。
「サッカーは理屈や学問じゃない。アートだ」
ただ、アダーニはグアルディオラ(マンチェスター・C)やサッリ(チェルシー)、ガスペリーニ(アタランタ)が好む、主導権を握って攻める機動サッカーの信奉者であり、実践派アッレグリとの溝は今後も埋まることはないだろう。
アッレグリにも根っこのところで譲れないものがある。一気に早口でまくし立てた。
「サッカーの監督業とは骨の折れる厄介な仕事だ。机に座って書いたり、読んだりするだけでは到底務まらない。高い感性や深い英知、シーズンの機微を見極める鋭敏なセンスが必要とされる。客観的事実を言わせてほしい。勝者となれるのは、ごくわずかな監督だけだ」
そして、口調をゆっくりとあらためると、スタジオのアダーニにだけでなくファンや世論にも訴えかけた。
「サッカーは理屈や学問じゃない。アートだ」
今季もタイトルを獲ったのに批判に晒され続けるアッレグリは、うるさ型の解説者やコメンテーター相手にどう対処すればよかったのだろう。
たぶん、かつての名伯楽リッピのように葉巻でも咥えて「まあ、君たちにはわからんだろうがね」とでも言って、鷹揚に構えていればよかったのだ。ただ、アッレグリはまだエネルギッシュな50代になったばかりでそこまで達観する必要もない。
論争をネタにしたバラエティ番組のリポーターから突撃取材を受けても、アッレグリは「私が傲慢? その通りさ。私はとっーーーーーーても傲慢だよ!」と、ユーモアたっぷりに切り返して、誰も傷つけず皆に笑顔をもたらした。この如才のなさがあるからアッレグリは憎めない。
“また来年”はあるのか。
「今季もスクデットを獲れて素晴らしいシーズンだった。CLは“また来年”がある。何度も挑戦するチャンスを持てる事自体、誰にでも許されるわけではないからね」
だが、智将の去就は不透明だ。
CL準々決勝で敗れた“アヤックス・ショック”の影響は今も大きい。2020年夏まで契約を残すアッレグリは、来季続投の条件としてCL制覇を見据えた大幅補強に加え、自身の権限向上と年俸上乗せをクラブ側に訴えると見られている。鍵となるアニェッリ会長との面談は今週水曜の予定だ。
アッレグリとユベントスは今も揺れている。