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ユーベ監督が生放送でブチ切れ!
8連覇でも容赦ない伊メディア。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/05/17 11:00
リーグ8連覇を達成して選手とともに喜びあうアッレグリ。今季はC・ロナウドの加入で欧州制覇が期待されたが、CLは準々決勝で敗退。
過去にはサッキに公然と……。
ただし、ユーベの指揮官はあえて偽悪的にそういう振る舞いをしているのではないか。
アッレグリは過去にも解説者と衝突している。
5年前の秋、CLのアウェーゲームでA・マドリーに0-1で敗れた際、アッレグリはカルチョ界の御意見番サッキから「ユーベには獰猛さがない。シュートが少ない」とお小言を頂戴した。大御所の言葉には、かつて自ら率いた古巣A・マドリーへの贔屓感情がちらついていた。
アッレグリは20歳も年上の大御所に向かって「アリーゴ」とファーストネームで呼びかけると、「どうやら貴方と私はサッカーの見方がちがうようだ。我々がわかり合うことは永遠にないだろう」と言い切った。
御大サッキへ公然と楯突くには、誰にも論破されない理論と実績をもって、腹を括らなければならない。そして、アッレグリの覚悟と能力を誰より評価するのは、やはり同業者たちだ。
リッピは肩を持ち、アンチェロッティはネタに。
アダーニとの口論が始まったとき、隣のインタビューブースで待機していたインテルの指揮官スパレッティは、声高に聞こえてくるアッレグリ節に聞き耳を立てながら「彼を怒らせたってことは(番組進行で)何か下手を打ったんじゃないの」と笑いを噛み殺していた。
茶目っ気のある名将アンチェロッティ(ナポリ)は翌日の会見で、SKYの記者から質問されると「黙ってくれ」というジェスチャーで会見場にシニカルな笑いをもたらした。
アッレグリの後ろ盾には名将リッピもいる。中国代表監督へのカムバックが噂されている中、同郷トスカーナの後輩として、またユベントスのOB監督として、リッピはアッレグリに肩入れする。
「『あそこはこうすべきだった』とか『なぜこんな手を打ったんだ』とか試合後に言われれば、どんな監督であってもイライラするものだ。アッレグリの言い分の方が正しい」
インテル戦の翌週、5月3日に行われたトリノ・ダービーの後、アッレグリは再びSKYのカメラの前に立った。
ミラノのスタジオにはやはり天敵アダーニが居座っていたが、司会者が「今日で一旦和解しましょう」と仲立ちをかって出ると、両者はそれぞれ落ち着いたトーンで言い分を述べ、論争は収まったように見えた。