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U-20W杯、10番主将は頼れる男。
齊藤未月「闘争心をむき出しに」 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/05/14 08:00

U-20W杯、10番主将は頼れる男。齊藤未月「闘争心をむき出しに」<Number Web> photograph by Takahito Ando

湘南MF齊藤未月は第11節を終えて、スタメン出場は9試合。曹監督からの評価も高い。

「日本代表として」一丸に。

「どの試合も本気で戦う。何かを打算してプレーする選手では厳しい勝負の世界では戦えない。ベルマーレは日々そういう環境だし、当たり前のこと。U-20日本代表でもその当たり前を発揮し、闘争心をむき出しにして戦いたい」(齊藤)

 重要な本番前だからと言って、力をセーブしたりはしない。前述した通り、長崎戦も大分戦も、彼は捨て身のディフェンスを見せたり、球際に一切の迷いもなかった。この闘志みなぎる背中が仲間を鼓舞し、はっきりとモノを言える姿勢がチームを引き締める。

 ポーランドの地でも、湘南で見せる姿と変わらない齊藤が存在することだろう。

「今回、(2017年の)U-17W杯組が多く入ってきて、世代間が広がったからこそ、本当にキャプテンの存在が大事になってくると思います。それにメンバーがいろいろ変わって、僕自身も初めてやる選手もいる。だからこそ、どれだけ早くチーム一丸となって、チームとして相手に向かっていけるかが、物凄く重要になってくると思います。サッカーは個人スポーツじゃないので、チームとして、日本代表として臨めるようにしたい」

安部らの不在で責任は増した。

 コパアメリカの影響で、仲が良く、共にチームの牽引役を担ってきた安部裕葵はいなくなった。それだけに、彼の重責は増した。それを十分に理解しているからこそ、逆に彼はより熱く燃え上がっている。

「僕にとってU-20W杯はとてつもなく重要な大会だし、めちゃくちゃ楽しみな大会。多分、どの選手にとっても、最高のアピールの場だと思うし、そう本気で思ってこの大会に臨んでくると思う。(世界の)すべての選手もモチベーションを最上級に上げて臨んでくると思うので、日本もモチベーションを高く持たないと、あっという間に飲み込まれてしまう。

 でも、何もビビることはない。むしろチャレンジャーだと思われてもいい。日本が決勝に行ったり、優勝したら世間はどう思うのか楽しみです。

 それに今回、安部ちゃんがいないことで、僕に10番が回ってきた格好ですが、10番といえば、ボールを繋ぐとか、スルーパスを出すとか、ゴールを取るという印象があると思う。日本代表の新しい10番ではないですけど、ボールを奪うとか、球際では負けないとか、そういう気迫のこもったプレーをやりきる。モドリッチみたいな10番ではなく、フランス代表のカンテが10番をつけてやっていると思ってくれたら良いなと思います。新しい10番を見せたいです」

 U-20日本代表の10番。チームを束ねるキャプテン。そして唯一無二のボール奪取力を誇る男。

 主軸メンバーが抜け、新戦力に頼らざるを得ない状況に置かれているこのチームに火を付ける存在として。そして、新たな10番像を築く者として、齊藤未月は湘南から世界へ羽ばたいていく。

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