All in the Next ChapterBACK NUMBER
金子弌大が認め、山本由伸は憧れ。
神戸で実現したオリ新旧エース対決。
posted2019/04/23 11:30
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kyodo News
平成最後の神戸開催となった、4月18日のオリックス対日本ハム。先発はオリックスが山本由伸、日本ハムは金子弌大でした。
「入団して2年間、金子さんと同じチームでピッチングを見ることができました。けれど、偉大すぎて、存在が大きすぎて、結局、一度も話すことができませんでした」
こう話すのは山本投手。彼が入団した2017年、金子投手は一軍のマウンドで1年間、先発ローテーションを守りました。しかし、山本投手が一軍で頭角を現した昨年、金子投手は怪我のため、夏以降は二軍での調整を続けていました。
同じチームに在籍した2年間、ほとんど交わることのなかった2人の投手の運命。
野球の神様のいたずらか、金子投手が日本ハムに移籍し、今シーズンが始まって3週間。2人は違うユニフォームを着て、先発として投げ合うことになりました。しかも、舞台はオリックスの歴史を作ってきた、かつてのグリーンスタジアム神戸(現・ほっともっとフィールド神戸)でした。
金子が買っていた山本の才能。
「大貴さん、面白い投手が入ってきましたよ。すごい投手になる可能性があります」
オリックス時代の金子投手が、こんな話をしてくれたことを思い出しました。
「独特の感性を持っています。やり投げの原理で投げているそうで。山本由伸という子です」
それからオリックスの背番号43、山本投手の練習を注目して見るようになりました。確かに練習中、棒のようなものを投げてフォームを確認している……左手は真っ直ぐ前に、そして左足を突っ張るようにして踏み込み、投じる。金子投手の言う通り、独特な練習でした。
グラブから出す左手の指も、多くの選手のように人差し指ではなく、中指を出していました。「真っすぐ前に手を出したとき、中心ラインになるのは中指だから」というのが、その理由でした。