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田臥勇太復帰とBリーグ栃木の第2章。
「優勝の時と同じか少し良いかも」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2019/04/13 11:30
田臥勇太の復帰戦となった3月27日のホームでの秋田ノーザンハピネッツ戦では99-54と圧勝した栃木ブレックス。
新加入選手とのケミストリー。
少しずつ見えてきたものはある。例えば、王者アルバルクを4点差で下した4月5日の試合だ。残り45秒を切った時点で、比江島はドライブから勝利を決定づけるシュートを沈めた。大事な局面で周囲からボールを託され、責任を全うした場面について、こう言った。
「自信にはつながります」
バスケットボールの世界ではしばしば「ケミストリー」という言葉が用いられる。1人の選手が加わったからといって、すぐにチーム成績やデータが上向かないのがこの競技の面白いところだ。
新しい選手が入った過程の中で、最適なバランスを探っていかないといけない。そこには時間も労力もかかる。いわば産みの苦しみがある。
しかし、そこで化学反応が起これば、新加入選手は単なる足し算にとどまらない。かけ算のような大きな力となる。
その過程について、安齋HCはこう表現する。
「今までプレータイムが長かった選手のそれが短くなると、上手く流れに乗れないこともあります。全ての選手にストレスなくプレーしてもらうために、どうするのか。今はそれを試合で色々と模索している。難しいことですけど、それが僕の仕事なので……」
田臥「イチローさんもそうですが」
残りのレギュラーシーズンのなかで、最適解を見つけられるかどうか。そこに第2章の行方はかかっている。
興味深いのは、その状況で戦う彼らの言葉である。
田臥が言う。
「最近になって改めて感じたのは、年齢を重ねても現役でやられている方は本当にすごいんだなと。イチローさんなどもそうですけど、それだけの努力をしないと、長年できないので。休み方ひとつとっても、ただ休むのではなくて、身体を動かしながら休むとか。そういう部分は怪我をして、さらに気をつけるようになっています。
競技が好きで、プレーしたいという想いがあるからこそ、それができると思う。今はまだ5分しか出られないですけど、それでもやっぱり、試合に出ているときは楽しいですから」