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<独占ロングインタビュー>
イチロー「長き戦いを終えて」

posted2019/04/11 11:45

 
<独占ロングインタビュー>イチロー「長き戦いを終えて」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph by

Naoya Sanuki

イチロー選手が28年間の現役生活で向き合い、戦ってきたものとは何か? 本人が語った「2つの負け」、WBCで体験した「恐怖」、自分にとって一番の才能、さらには、引退後に見て思わず泣いてしまった動画や、弓子夫人との秘話、試合前に食べてきたおにぎりの具……。現役引退から数日後、シアトルでトレーニングを続ける彼を訪ねて得た、その貴重な肉声。Number976号『イチロー戦記』収録の独占インタビューを特別に全文掲載致します!

――現役を引退してから、どのような時間が流れているんでしょうか。

「時間に追われることのない、そんな時間が流れています。それと、シアトルに戻って2日目だったかな。寝違えちゃったんです。朝、起きたら首が痛くて。もし引退していなかったら、毎日が憂鬱で仕方がなかったと思います。もちろん痛みがあるから気にはなりますが、それでも、今までのように考えなくてもいいんだと思ったとき、改めて引退したことを実感しましたね」

――シアトルは桜が満開、春の気配が漂っています。この季節になれば戦闘モードのスイッチが入るはずなのに、それを入れられない喪失感はありませんか。

「喪失感、現段階ではまったくありません。毎日、テレビでマリナーズのゲーム(試合)を観る態勢ができていることを見てもそう言えると思います。当初は、心の整理をしなければゲームは観られないと思っていました。でも、実際にはそうではなかった。ただ、それは解放感があるからなのか、あるいは未だに解き放たれていないからなのか、どちらなのでしょう」

――引退を発表したときの記者会見で「後悔などあろうはずがない」と断言できたんですから、解放されているんじゃないですか。

「会見で草野球の話、しましたよね。プロ3年目に210本のヒットを打って一気に番付を上げられてからは、しんどくて、それまでの純粋に楽しい野球ではなくなってしまった。でもプロ野球選手としてそれなりに苦しい時間を過ごしてきたからこそ、草野球を楽しめるようになる、という話。その話と似ていて、メジャーの野球を苦しみながらやってきて、終わったときに『あれをやっておけばよかった』という状態になかったからこそ、すぐにゲームを観られる態勢になっていたんじゃないかと思うんです。もし何らかの悔いがあったとしたら、しばらくは観られなかった……(他球団同士の)プレーオフもそうでした。自分なりに結果を出したときにしかテレビでプレーオフのゲームを観られませんでした。そうでないときは気持ち悪さが自分の中に残っていて、消化し切れなかったんです。今、18年ちょっとの時間を振り返ってみて、それがなかったから、スッとシアトルでの開幕戦を観られたのだと思います」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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