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センバツの裏で九州の逸材を発見。
熊本には11球団のスカウトが集結!? 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2019/04/04 07:00

センバツの裏で九州の逸材を発見。熊本には11球団のスカウトが集結!?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツの時期も、出場しない学校にとっては夏のための大切な準備期間である。全国で熱い準備が進んでいる。

打者を見てポジションを決められる知性。

 決して派手じゃない。パッと見て、キラキラッと光るような“オーラ”も感じない。体も小柄で、アッと驚くようなスピードもないのだが、これが試合で動くと、まずエラーをしない。

 特に、スローイングだ。まずフットワークから動作が始まって、その連動で投げるメカニズムだから、肩と腕が無理をすることがない。投げる距離に応じてちょうどよい力の入れ具合で投げるので、送球に左右、高低のブレもまずない。三遊間からのスローイングすら、安心して見ていられる。

 打者のスイングを一度見れば、次の球種を考え合わせて、ポジショニングをピタッと決められると、彼は言う。

 ヒット性のコースに打球が飛ぶ。なんでそこにキミがいるの? ピタッと先回りして、何ごともなかったようにさばいてアウトにし、バッターランナーが天を仰ぐ。

実は、SBの中村宜聖に並ぶ飛距離。

 3打席目までは今ひとつタイミングが合わなかった“打”の面だが、4打席目になってとんでもない打球が左中間に飛んだ。両翼98m、センター122mの広い広い久留米市野球場の左中間のいちばん深い所にハーフライナーで飛んでいって、てっきり「入った!」と思ったら、高いフェンスの上にさらにあるネットに邪魔されて跳ね返ってきたようだ。

 本人、どこに飛んだかわからなかった……と言いながら、50m6秒0の足をとばして全力疾走でベースを回り、余裕で三塁打になった。

「近藤、小さいからあんまり信用してもらえないんですけど、宜聖(現ソフトバンクの中村宜聖)なんかと同じぐらい飛ばしよりますもんね」

 西村監督が今年からプロに進んだ1年先輩を引き合いに出してほめていたのが、ようやく実感として胸に落ちた。

「もう、あれです。あいつは、フィールディングと人間性についてはまったく問題ないです」

 今日は、こんなほめ方だった。

 彼が1年の秋と2年の春と、本気でチームの「キャプテン」にしようか真剣に悩んだという泰然自若のドッシリ感。3年春のここに来て、「プロ志望」に進路を絞ったという。

【次ページ】 翌日の熊本にはスカウトがビッシリ。

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