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八村塁、NCAAのベスト8で無念の敗退。
「このチームが好きだった」
posted2019/04/02 17:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yukihito Taguchi
NCAAトーナメントは2試合を勝ち上がるごとに開催地を移して、次のステージへと上がっていく大会だ。最初のステージでは全米8会場で行われていた試合が、2つめのステージでは4会場になり、最後は1カ所に集まる。戦いを勝ち抜いた強者たちが集まっていくシステムは、NCAAトーナメントに独特な空気を作り出している。
特別なのは開催地の変遷だけではない。3回戦からは、ラウンドごとに特別な名前がつけられている。
16強の戦いは“スイート16(Sweet Sixteen)”、8強の戦いは“エリート8(Elite Eight)”。数字の頭のアルファベットにちなんだ言葉遊びだが、実際に16強の戦いができることは“スイート”な(楽しい)ことで、そこから勝ち上がって8強に入ったらエリート・チームの仲間入りをしたと認められる。そして3つ目のステージ、“ファイナル4”に進むことは、どのチームにとっても究極の目標だった。
最初の2試合を勝ち抜いたゴンザガ大も、次のステージの舞台、カリフォルニア州アナハイムに移動した。
「僕がやらないとチームも回らない」
スイート16の戦いを前に、八村は「最初からアグレッシブに行く」と決めていた。それは、1年前、同じNCAAトーナメント3回戦で同じフロリダステイト大と対戦したときに相手のフィジカル差に圧倒されてしまった反省に加え、今年2回戦のベイラー大戦で相手の変則ディフェンス相手に考えすぎてしまい、最後までオフェンスのリズムを取り戻せなかったことへの反省があった。
「僕がやらないとチームも回って来ない。それは僕の仕事だと思っている」と八村。トーナメントでは勝ち進みさえすれば、前の試合でうまくできなかったことを挽回する機会が与えられるのだ。
フロリダステイトは1年前と同じように、サイズがありフィジカルの強いチームだったが、八村自身、自分の身体の強さには年々自信を持つようになっていた。1年目には、日本とは別レベルのフィジカルな身体のぶつかり合いに、練習や試合をするたびに「この中で自分が一番弱い」と悔しい思いをしていたのだが、今では、アメリカの大学バスケットボール界でなら、「誰と対戦してもパワーで負けない」と自負するまでになった。