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「えっ、これが筋トレ?」の練習で、
瀬戸大也の泳ぎが好循環した理由。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2019/03/31 17:00
7月の世界選手権の個人種目で優勝すれば東京五輪の代表入りが内定。代表1番乗りを目指し奮闘を誓う。
「これが筋トレ?」という内容。
スイム以上に大幅に変えたのが筋肉トレーニングだ。まずは考え方の土台から再確認。水泳選手であるということを軸に方向性を練り直し、水の中でパフォーマンスを発揮するための方法を考えていった。
リオ五輪後に専属トレーナーをつけ、泳ぎに活きるメニュー、泳ぎに繋がるメニューを追求。この結果、他の選手がウエイトトレーニングに1時間半以上費やすようなときも、瀬戸は1時間以内で終わるということが増えた。持ち上げる重量も軽くなった。
「以前は時間的にもガッツリやっていましたし、重いものをガンガン持ち上げていましたが、今は『えっ、これがウエイトトレーニングなの?』と言われるような内容です。でも、それがスイムにすごくつながっています」
リオ五輪前はウエイトトレーニングの時点で筋肉が疲れきってしまい、水中練習の妨げにまでつながることもあったのが、最近はそういう悩みがなくなったそうだ。
「リオ五輪の前は、一度ガクッとくるともう、休まないと立て直しが利かないような状態になっていたのですが、今ではつねに水中で追い込むことができるようになり、バテづらくなりました。しっかりと練習をこなせる体なので、練習もすごく楽しいですね」
練習で充実感を得ることでさらに良い練習ができる。そんな好循環が生まれた。
「今年中に東京五輪決めたいです」
日本選手権では決勝で2位以内に入ることに加え、日本水泳連盟が設定する派遣標準記録II(個人メドレー200m:1分57秒98、400m:4分13秒09)を突破することが世界選手権代表入りの条件だ。世界選手権では金メダル獲得で東京五輪の代表に内定する。
「今年は全部優勝して代表権を勝ち取れるようにしたい。そして、世界水泳ではまずは1個でもいいから金メダルを取って、今年中に東京オリンピック決めたいです」
瀬戸はリオ五輪前年の世界選手権で400m個人メドレーの金メダルを獲得し、いち早くリオ五輪代表に内定した経験がある。ただ、そのときは時間の余裕を生かして痛みのあった両かかとの三角骨を除去する手術をし、練習できない時期があった。
「もし、今年の世界選手権で金を取ることができて東京五輪の内定をもらえたら、4年前とは違う1年間になっていくはずです。リオのときは、前年に内定をもらったことで手術をすることを決めましたが、今年はそういうこともなく、さらに早い段階から強化できると思います」