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ファイナルで見せた粘りの卓球。
“危機感”が早田ひなを強くした。
posted2019/03/31 11:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
AFLO
3月17日、Tリーグ女子プレイオフファイナル。
ビクトリーマッチまでもつれた戦いは平野美宇、早田ひならを擁する日本生命レッドエルフが制し、初代女王に輝いた。
マッチカウント1-1で迎えた第3マッチ。レギュラーシーズン1位の木下アビエル神奈川は袁雪嬌が、日本生命レッドエルフは早田ひなが登場した。
第1ゲームから互いに攻撃の応酬が続く。早田が終盤にリードを奪い、1ゲームを先取すると、第2ゲームは袁のペースとなり追い上げる早田を振り切って奪い返す。激しい攻防が続いた第3ゲームも早田が奪い、勝利に王手をかけた。しかし、このままでは終わらないのが袁のすごさ。レギュラーシーズンの個人成績では、シングルスのマッチ数勝利で14勝とリーグ2位をマークする実力通り、圧倒的なプレーを見せ第4ゲームを11-3と制す。勝負は最終ゲームへともつれ込んだ。
これで勢いづいた袁はポイントを積み重ね、10-7とマッチポイントを掴む。しかし、早田は焦らなかった。
もつれる展開も、冷静だった早田。
「相手も強い選手ですし、簡単に点は取れないと思っていました。どんなに負けていても、1本1本取ることだけを心がけてプレーしていました。何度もマッチポイントを握られましたが、第4マッチでは相手に石川佳純選手が控えていましたし、ここで私が負けたら1-2になりチームメイトにもプレッシャーをかけてしまうなと思って。だから絶対に勝たないと、と考えていました」
6度も相手にマッチポイントを握られながらも、「どんなに負けていてもその一本に集中した」と決して引かなかった。結局、このゲームは早田が19-17と大接戦をものにした。