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ファイナルで見せた粘りの卓球。
“危機感”が早田ひなを強くした。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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posted2019/03/31 11:00

ファイナルで見せた粘りの卓球。“危機感”が早田ひなを強くした。<Number Web> photograph by AFLO

Tリーグ初代王者となった日本生命レッドエルフ。ここ一番、早田の粘りで優勝を引き寄せた。

敵将も認める修正力と対応力。

「選考会(ジャパントップ12)の準決勝ではサーブの変化もなかったですし、最後まで同じことをして、相手に読まれて負けてしまった。今回は絶対に同じことはしないと決めていました。最後にマッチポイントをとったときは、“絶対にここで違うことをしなければ、あの後悔を晴らすことはできない”と、思い切ってロングサーブを打ちました」

 昨年10月に開幕したTリーグで経験を積み重ね、プレイオフファイナルで見せた早田の修正力と対応力は特筆すべき点だ。その成長は日本生命の村上監督はもちろん、敵将である木下アビエル神奈川の監督、劉燕軍氏も認めるところだ。

「最近は国内外の試合で活躍をされています。早田選手は私たちにとって脅威でありました。2月のポルトガル・オープンでは中国の劉詩ブン(元世界ランキング1位、現在同5位)にも勝利し、彼女が優勝しました。Tリーグの序盤ではそんなに目立ちませんでしたが、その後の成長には目を見張るものがあります」

熾烈なシングルス代表争いへ向けて。

 つい先日行われたオマーン・オープンの女子シングルス準決勝で平野美宇を、そして決勝で世界ランク8位の台湾の鄭怡静を4-1で破り、ポルトガル・オープンに続く2大会連続優勝を果たしたばかりだ。その勢いは止まらない。 

 来年開催される東京オリンピックの枠は「3」。代表選考基準は2020年1月発表の世界ランクで日本人上位2名が個人戦シングルスおよび団体戦メンバーに選出される(残る1人は団体戦のみの出場となる)。女子シングルスの五輪代表争いは、ブタペスト(ハンガリー)で行われる世界選手権でもダブルスを組む伊藤美誠や石川佳純、平野美宇ら役者が揃い、熾烈を極める。

 4月の世界選手権女子シングルスの代表入りを逃したのは痛いが、その危機感をパワーに変えてツアーに挑む。

「これから東京オリンピックのレースが始まります。Tリーグで経験したことを、この先ぶつけていきたいと思います」

 東京オリンピックまで500日を切った。真価が問われる戦いで、早田はさらなる成長を遂げる。

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