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羽生結弦とネイサン・チェンの美。
世界選手権で語り継がれる名勝負。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2019/03/24 12:00

羽生結弦とネイサン・チェンの美。世界選手権で語り継がれる名勝負。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

表彰式での羽生結弦とネイサン・チェン。見る人の心を鷲掴みにする名演技だった。

来季、どんな滑りを見せるか。

 そこにあったのは、長年にわたり真摯に取り組む中で培ってきた経験や、挑み続けてきた姿勢の体現であった。何よりも、ステップをはじめとして、演技に込められた情感は、大きな会場全体に伝わるものであった。

 得点だけでは見えない濃密かつ熱のこもった時間が、そこにはあった。

 それでも羽生は、悔しさを隠さない。

 結果もさることながら、思い入れのあるプログラムをショートとフリーそれぞれに用意しながら、今シーズンの集大成となる場で、ショートでは望んでいた演技ができなかった、2本そろえられなかったという無念の思いもある。

「次はショートもフリーもいい練習をして、努力が正解だったと証明できる演技をしたいです」

 2年前の四大陸選手権がそうであったように、敗れて「楽しかった」という思いを残した世界選手権は、これからの糧になる。

 チェンもまた、昨シーズンから一段飛躍したことをあらためて物語る今大会を経て、さらに成長していくことだろう。

 他を圧する次元で、記憶に残る勝負を演じた2人は、来シーズン、どのような滑りを見せるのか。

 早くも先が楽しみになる日でもあった。

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