オリンピックへの道BACK NUMBER
“ミス・パーフェクト”宮原知子。
世界選手権は自分との勝負になる!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2019/03/20 07:00
GPファイナル、全日本選手権と悔しい思いをした宮原。「自分が納得する演技」を世界選手権の舞台で披露する。
意識せざるを得ない紀平梨花の存在。
例えば、NHK杯でのこと。同大会で優勝した紀平について、そして自身が優勝できなかったこととの関連性について何度も問われた。それに対して言葉に詰まって、沈黙する場面もあった。
NHK杯に限らない。取材の場では否応なく、紀平について意識させられる質問があった。それは、取材の場というだけにはとどまらないだろう。他の選手の動向を意識するのは、競技に身を置く選手なら自然なことである。
それでも宮原は機会あるごとに、“自身の演技を徹底する重要性”を言い続けた。
「(紀平から)ふだんの練習から、たくさん刺激を受けることができている。だからもっともっと頑張らないと、という気持ちを忘れずに、日々練習することができています」
「順位よりも、自分が納得する演技がしたいです」
結果を大切にしたい。でもそのために大事なのは、何よりも自分の演技をすること。そんな思いと率直さは、世界選手権開幕を前にしても変わらない。
「表彰台に乗りたい気持ちもないことはないですが、今は自分がやってきたことを本番でやることしか考えていません。今は順位や結果は考えていないです」
次なるレベルアップを求めて。
宮原は、すでに先を見越した取り組みも始めている。
その1つは、昨夏から本格的に始めたトリプルアクセルの練習だ。紀平だけでなくトリプルアクセルに成功する選手が複数人、現れている。それもあってか宮原は「意識してしまう自分がいます」とも漏らす。
しかし、こうも語っていた。
「(今の)プログラムにはトリプルアクセルは入っていないし、できることをやることに変わりはありません」
トリプルアクセル成功の鍵は「最後は自分でいいタイミングを見つけること」だという。