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久保建英、体も心も急速に大人に。
「18歳の誕生日」まであと3カ月。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/11 11:40
ゴールへ直結する仕事が着実に増えている久保建英。5月のU-20W杯で活躍すれば、世界からの視線もさらに過熱しそうだ。
フィジカル強化で鮮明になった強み。
サガン鳥栖との第3節でも、久保は高水準のプレーを見せる。
バルセロナの育成組織で育った生い立ちから、パフォーマンスのすべてが話題になるのが久保という選手だ。分かりやすい好プレーはもちろん、ミスさえも抽出されてしまう。
しかし、技術的なミスはほぼなかった。自分がミスをしないだけでなく、味方のミスを誘うようなプレーもないのだ。
プロなら当たり前にこなしてほしいプレーを当たり前にやり遂げていくクオリティは、J3にデビューした15歳当時から身に付けていた。17歳になった久保はフィジカル的に逞しくなり、身体の強さでねじ伏せられることが無くなってきている。ドリブルのコース取りやスピードアップのタイミング、さらにはしなやかな身のこなしといったものが、はっきりとした強みになってきた。
終了間際の決定的な仕事。
0-0のまま推移していったゲームは、88分と90+3分のゴールでFC東京がものにした。久保はジャエルがあげた2点目をアシストした。自らフィニッシュへ持ち込むこともできたこの場面で、ラストパスを選ぶのも彼らしい。ゴールへのより高い選択肢として周りを躊躇なく使えるのも、久保の長所である。
ゴールに結びついたプレーは、もちろん価値がある。久保自身も「これでプレッシャーがなくなって、次の試合から伸び伸びプレーできればいいと思います」と話したが、後半終了間際に決定的な仕事をしたことに、実は大きな意味がある。
前半から守備でもハードワークし、勢いのあるチェイシングが相手のミスを誘った。ディエゴ・オリヴェイラがGKをかわしてゴールへ迫った37分のシーンは、久保がきっかけを作り出したものだった。
58分にペナルティエリア左へ侵入し、至近距離から同サイドへ強烈なシュートを放つ。63分にはセンターサークル付近からドリブルをしかけ、シュートコースを探しながらペナルティエリア手前まで持ち込み、左足の一撃をワクへ持っていった。試合終了のホイッスルを聞くまでプレーの精度を落とさず、最終局面で得点に絡んだところに、さらなる成長の可能性が詰まっていると言えるだろう。