リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサで純粋培養されたサンペール。
神戸の新戦力はグアルディオラ2世。
posted2019/03/08 17:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
幼い頃から兄ジョルディ(現プロテニスプレーヤー)とテニスに勤しんでいたセルジ・サンペールがバルセロナの選手となったのは、6歳のとき。
きっかけは、いつものようにカンプノウへバルサの試合観戦に出かけた祖父が目にした「お知らせ」――フットボールの育成部門の前段階にあたる「エスコラ」(スクール)の入団テスト実施――だった。
祖父に連れていかれた会場で、彼のチームは1-13の惨敗を喫した。が、サンペール自身は合格を言い渡された。
育成部門に上がってからのサンペールは、全カテゴリーで中盤に君臨し、文字通り中心選手となって腕にはキャプテンマークを巻いた。
その特長はどんな状況に置かれても動じない冷静さに、柔らかいボールタッチに、強弱自在のパス。仲間と敵の位置を一瞥で把握し、次の展開を予測する頭脳もずば抜けていた。
ブスケッツから学んできた。
洗練されたプレーと線の細さが共通していることから「グアルディオラ2世」と称され、地元スポーツ紙の記者の中には「カンテラのピルロ」と呼ぶ者もいた。
しかし、本人が鑑としていたのは別の選手だった。
「ここ数年はポジションが同じブスケッツに注目してきた」
2014年9月、CLのAPOEL戦で初めてカンプノウのピッチに立った試合後、詰めかけたメディアに明かした秘密である。
試合の録画を何度も見直しながら、サンペールはブスケッツの巧みなポジショニングや、ボールを奪い返した直後の選択や、試合の流れの読み方を学んできたという。
APOEL戦のデビューをもって、サンペールはエスコラからトップチームまで、途中他のクラブで一切プレーすることなくプロデビューした最初の選手となった。
つまり、バルサで純粋培養された最初のプロ選手ということだ。