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引退して27年。元バレーボールの益子直美を
駆り立てる辛かった選手時代の思い出。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byShiro Miyake

posted2019/03/05 11:15

引退して27年。元バレーボールの益子直美を駆り立てる辛かった選手時代の思い出。<Number Web> photograph by Shiro Miyake

小6の女の子からもらった手紙。

 厳しく指導しているチームも多いので、最初はこんなルールを作ったら、どこのチームも出てくれないのではないかと心配だったんです。でもリピーターのチームも増えてきて、今では九州全般や山口県から参加してくれるチームもあります。監督の意識もすごく変わってきて、普段何気なく言っている言葉が、すごく子供達を怖がらせているんだということにも気づいてもらえて、声のかけ方も変わってきました。

 この間、参加した小学6年生の女の子からお手紙をもらったんです。「監督が怒らないことが分かっていたので、普段は取りにいけないボールにもチャレンジすることができました」って書いてあって、本当にうれしかったですね。

 今の私は、バレーボールに限らず、くよくよ悩んだり、泣くよりも笑って時間を過ごしたいと思っています。泣いても怒っても、時間って同じように流れるんですよね。だったら、笑顔で楽しく過ごしたい。笑顔って難しいですよ。気がつくと怖い顔になってしまいますから(笑)。それでも怒らないように意識をしていくと自然と楽しい時間が増えてきます。無理にでも笑っていれば、私が怒っていることは大したことないな、って自分の器もすごく大きくなるんです。

 昔は水を飲んじゃいけないとか、今では考えられないような時代があったじゃないですか。それと同じように、監督が怒っていた時代ってあったね、と言われる時がきっと来ると思います。この大会が必要ない、と言われるときが来るまで、細々とですが、頑張っていきたいですね。

益子直美

益子 直美Naomi Masuko

1966年5月20日、東京都生まれ。中学入学と同時にバレーボールを始め、高校は地元の共栄学園に進学。春高バレーで準優勝し、3年生の時に全日本メンバー入り。「下町のマコちゃん」の愛称で1980年代後半から1990年代前半の女子バレーボール界を席巻した。卒業後はイトーヨーカドーに入団。全日本メンバーとして世界選手権2回、W杯に出場。1992年に現役を引退し、現在はタレント、スポーツキャスターなど幅広く活動中。

毎回1名のゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある「美しさ」をあぶり出すBS朝日の番組。ビジュアルだけではなく、精神的、健康的など様々な角度から“肉体に宿る美”を探ります。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

MC:浅尾美和

第45回:益子直美(バレーボール)

3月8日(金) 22:00~22:24

元バレーボール選手の益子直美さんは高校生の時から全日本に選ばれるなど、一時代を築いた名アタッカー。現役引退後は、スポーツキャスターやタレントとして活躍しています。40歳で結婚。幸せな夫婦生活を送る一方で、彼女の人生には、さまざまな出来事がありました。

第46回:松井稼頭央(野球)

3月15日(金) 22:00~22:24

走・攻・守、全てが一流だった元プロ野球選手の松井稼頭央さん。日本人内野手として初めてのメジャーリーガーにもなりました。昨年、43歳で現役を引退。今シーズンから埼玉西武ライオンズの2軍監督として選手の指導にあたります。松井さんの新しいシーズンが開幕します。

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