Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

<ウィンブルドンレポート>錦織圭「破った壁と、破れなかった壁と」 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2018/07/24 06:00

<ウィンブルドンレポート>錦織圭「破った壁と、破れなかった壁と」<Number Web> photograph by Hiromasa Mano
 ようやく芝の聖地で壁を破った。日本人男子で初めて、四大大会すべてで8強入りを果たした。  その先でまたも強敵にはね返されたとはいえ、久々にいい状態でアメリカラウンドに向かう――。

 錦織圭がシーズン後半戦の目標を、ランキング上位8人が出場するシーズン最終戦、ATPファイナルズ出場に定めた。右手首のケガで昨年8月からツアーを離脱、今年の全豪オープンも欠場した。いかにゼロから自信を積み上げられるかという状態でのスタートだったが、1段も2段も目標を上方修正したことになる。

 全仏で4回戦進出、ウィンブルドンで自己最高のベスト8進出を果たしたことが高い目標設定につながった。出場権を争うレースランキングでは10位に浮上した。もっとも、8強については「当たり前というか、そんなに思いはない」と感想は素っ気ない。成績より、大事なのは自信だ。

「芝でいいテニスができたことは自信になる。サーブがよくなっているし、芝で自分のテニスが見つけ出せた」と錦織。本来は武器になるフットワークで「苦戦していた」が、芝での動き方が分かってきた。動きがよくなったことで「我慢できるようになり、あせらなくてもラリーでポイントが取れるようになった」。好感触は来年以降の芝シリーズにつながるだろう。

 自信とは、こうした手応えの集積だ。マイナス要因が一つずつ消え、やれるという気持ちが強まる。その収支が大きくプラスになったことが、ATPファイナルズ出場の目標につながったと見ていい。

 ウィンブルドンで大きかったのは、バーナード・トミック、ニック・キリオスという年下の実力者を倒したことだ。昨年11月に行なったインタビューで錦織はこんな話をしている。

「上だけを目指していたのが、下から強い奴らがいっぱい出てきて、そういう人たちとは(上位に対するのとは)違うメンタルで戦わないといけないので、自分らしいテニスができなくなってくる。メンタルの持ちようとか、結構考えさせられた」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。

錦織圭

テニスの前後のコラム

ページトップ