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<全日本卓球決勝の衝撃>張本智和vs.水谷隼「歴史が動いた瞬間」 

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城島充

城島充Mitsuru Jojima

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photograph byphotographs by Itaru Chiba

posted2018/02/06 07:00

<全日本卓球決勝の衝撃>張本智和vs.水谷隼「歴史が動いた瞬間」<Number Web> photograph by photographs by Itaru Chiba
日本のエースとして卓球界を牽引してきた水谷と、最年少記録を次々と塗りかえてきた張本。 全日本決勝では新時代の到来を告げるかのように、14歳の張本が28歳の水谷を破り、頂点を極めた。 怪物と天才。2人の物語はこれからも続いていく。

 1936年に第1回大会が開かれて以来、戦時中の中断を挟んで76回に及ぶ全日本卓球選手権の歴史をひもといても、男子シングルスで通算10度目の優勝を狙う「絶対王者」はもちろん、14歳6カ月の中学生にして天皇杯に手をかけた「怪物」も過去に存在しなかった。

 2つの才能が今、このタイミングで東京体育館のセンターコートで対峙したのは、時代が求めた必然だったのかもしれない。

 日本のエースとして卓球界を牽引し、リオデジャネイロ五輪のメダリストである水谷隼がこれまでと同じように圧倒的な存在感を見せつけるのか。それとも、昨年6月に世界選手権デュッセルドルフ大会で水谷を破った張本智和が、とてつもない最年少記録で覇権を奪い獲るのか。

 その勝敗予想には、観戦者の個人的な感情が色濃く反映されたはずである。両者の間に横たわる14歳という年齢差は、観戦者一人ひとりの追憶や感傷、期待を重ねるのに十分すぎる歳月だからだ。だが、東京体育館につめかけた7000人の観客が一様に驚嘆の声をあげるのに、それほど長い時間はかからなかった。

「いろんな先輩と打ちましたが、水谷さんだけは別格です。台から下がっても、全然ミスをしない。ポイントをとるイメージが1つもわかなかったのは初めてでした」

 張本がそう振り返ったのは、ナショナルチームの合宿で初めて水谷の胸を借りた直後のインタビューである。仙台の小学校を卒業し、東京のJOCエリートアカデミーに所属してまもない'16年6月のことだった。

 その直後、水谷はリオ五輪で男子シングルスで銅メダルを獲得、団体戦でも日本チームを銀メダルに導いた。ずっと憧れてきたヒーローはさらに遠い存在になったが、張本は公言してきた「2020年の東京五輪で金メダルを獲る」という夢を修正しなかった。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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