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<CLOSE UP>ソフトバンク川島慶三「胆力が生んだサヨナラ打」~日本シリーズ激闘の果て~ 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2017/11/14 07:00

<CLOSE UP>ソフトバンク川島慶三「胆力が生んだサヨナラ打」~日本シリーズ激闘の果て~<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

【'17.11.04 ソフトバンク4-3DeNA】

 王貞治会長は、ホークスの日本一を決めるサヨナラヒットを放った川島慶三に、こう声を掛けた。

「歴史に名を刻んだな」

“世界の王”が発した極上の誉め言葉を耳にして、プロ12年目、34歳の川島は全身の力が抜けるのを感じたのだという。

「あの瞬間、僕、これでもうユニフォーム脱がないといけないのかなって思っちゃいましたよ(笑)。そのくらい力が抜けたっス。王会長の言葉の力って恐ろしい……」


 第6戦のヒーローは興奮気味にまくし立てた。3-3で迎えた延長11回裏、ホークスの攻撃はツーアウト一、二塁。ここで7番の川島に打順が回る。ここまでの川島は4打数ノーヒット、3三振。第1打席は今永昇太のストレートに、第2打席はスライダーに、第4打席では山崎康晃のツーシームに、いずれも空振り三振を喫していた。

 迎えた川島の第5打席は、代打が出てもおかしくない場面だった。しかし工藤公康監督は、川島を打席に送り出した。男気コンテストをすればホークスで1位間違いなしと言われる川島が、燃えないはずはない。

「そこまでの結果を見れば、シーズン中なら絶対に代えられてるだろうし、そうなったら僕にできるのは、代わった人を応援することだけ。それがチームというものだと思います。でも、川島、行けと言ってもらったのなら、何打席も立たせてもらって同じやられ方はしたくないと思ってました」


 2-2の平行カウントになった5球目、三上朋也が外いっぱいを狙った149kmのストレートが、真ん中低めに入ってきた。川島はそのボールに食らいつく。一、二塁間の真ん中を破った当たりは前進守備のライト、梶谷隆幸の前に転がった。二塁ランナーの中村晃が三塁を蹴る。梶谷がバックホーム、しかしそのボールがホーム手前の土と人工芝との境目にバウンドして、大きく跳ねてしまった。キャッチャーの嶺井博希の頭上を越え、頭から突っ込んだ中村が右手でホームベースにタッチ――1988年のライオンズ以来、史上4度目となるサヨナラ日本一に、川島はヘルメットをドームの天井に向かって放り投げ、喜びを爆発させた。

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日本シリーズ激闘の果て。

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日本シリーズ激闘の果て。

 

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