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夫婦での活躍を目指す平昌。渡部暁斗が五輪に向け好発進。~ノルディック複合とフリースタイルのスキー夫婦~
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2017/12/08 07:00
開幕前の練習で転倒し左脇腹を痛めながらの優勝。体調を戻し、「さらにパワフルな走りができれば」と語った。
フィンランドで11月25日に行なわれたノルディック複合のW杯開幕第2戦で、ソチ五輪の個人ノーマルヒル銀メダリストである渡部暁斗(北野建設)が今季初優勝を飾った。'90年代前半に世界を席巻した荻原健司の19勝に次いで、日本勢2人目の2ケタ勝利となるW杯個人通算10勝目だ。
過去の9勝をすべてシーズン後半の2月、3月に挙げていた。そんなスロースターターの彼が「殻を打ち破れた」と喜んだ10勝目は、理想の展開を自ら作り上げてつかんだ勝利でもあった。まずはオフ期間に踏み切りの改善に取り組んだ前半ジャンプで、ヒルサイズの142mを超える142.5mを飛んで首位に立つと、2位に16秒差でスタートした後半距離(10km)では独走となり、最終的には2位に31.7秒の大差をつけて逃げ切った。この日はジャンプ時の風が安定し、有利不利のないコンディション。その中でW杯個人総合5連覇中の強敵、エリック・フレンツェル(ドイツ)らを退けた価値は大きい。