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“人間とは何か”を見つめる、オオカミとの共同生活。~パーティーにも街中にもリードなしでつれていく~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2017/05/30 15:00

“人間とは何か”を見つめる、オオカミとの共同生活。~パーティーにも街中にもリードなしでつれていく~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン』マーク・ローランズ著 今泉みね子訳 白水社 2400円+税

 アラバマ大学で哲学を教える准教授が、「九六パーセントのオオカミの子ども」を売る、という新聞広告を見つけ衝動買いをした。ウェールズ語で王を意味する「ブレニン」と名付けられた生後6週間のオスのオオカミは、それから11歳で死ぬまで著者と離れずに生活を共にした。ブレニンは大学にも同行し、著者の講義に飽きると遠吠えして教室の学生たちを喜ばせた。パーティにも、街中にも、リードなしで、ついていく。著者の職場替えでアイルランドに渡り、ロンドン、南フランスと移住した。こうなったのは、ブレニンが“ひとり”にされるのに耐えられず、室内の全ての家具を破壊してしまうため。イヌとは体力が段違いだ。著者は、“常にブレニンと一緒”のルールを自分に課し、それを守った。飼い主の責任感とは言え、相手はオオカミ、大変な決心であり、また、愉快な状況だ。

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