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小さなヨットで太平洋横断。23歳の青年の痛快な航海記。~日本を密出国し、アメリカで歓迎された男~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2017/05/17 07:00

小さなヨットで太平洋横断。23歳の青年の痛快な航海記。~日本を密出国し、アメリカで歓迎された男~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『太平洋ひとりぼっち』堀江謙一著 舵社 1429円+税

 小型の『新版 日本史年表』(1984年・岩波書店)を調べた。「1962年8-12 堀江謙一、ヨットで太平洋横断」とある。全長5.8mの小さなヨットで23歳の青年が大冒険をやった。記載は当然だ。当時、私は高校生。驚くと同時に、お役所や良識メディアの鼻を明かしたようで、痛快になった。そしてこの“航海記”、今もまったく古びていない。

「シングル・ハンド(単独)」という言葉が繰り返される。高校でヨット部に入った。部は上下関係が厳しく、入部1カ月で1年生は著者1人になった。ここからシングル・ハンドだ。意地で操艇技術を身に付け、太平洋横断の夢が生まれた。大学進学はせず、家業を手伝うが深入りせず、月給はヨット購入用の貯金。パスポート入手方法を探るため旅行代理店でアルバイトをするが、小型ヨットでの出国の規則がなくお手上げだ。生活のすべてを注いだ準備は5年かかった。冒険記の“準備の章”はスローに感じるものだが、本書は航海中と同じ面白さ。頑固で、ちょっと偏屈で、そのくせ人懐っこい著者の人柄と時折出る関西弁がいい味だ。

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2017年の松坂世代。

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2017年の松坂世代。

 

堀江謙一

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