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バレー石川祐希、イタリアで変貌。
「代表でもバトルがあっていい」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2019/02/22 11:30

バレー石川祐希、イタリアで変貌。「代表でもバトルがあっていい」<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

プロ選手としてイタリア・セリエAのシエナでプレーする石川。高いレベルの中で日々挑戦し続けている。

ストレスが石川を強くする。

 変わったのは食生活だけではなく、バレーボールに対する考え方もそう。

 チームメイトはイタリアだけでなくイラン、キューバなど国籍もバラバラで個性も強い。たとえばブロックの位置取り1つとっても、失敗したら自分が悪いと言う選手もいれば、人のせいにする選手、監督の指示が悪いと主張する選手もいる。

 1本1本のプレーで「なぜそうしたのか」とぶつかり合うのは当たり前。石川自身も「日本人同士だとお互いわかり合っている中でできるのに対して、バラバラな中で1つのチームをつくる。そのストレスを感じながらバレーをすることで自分も強くなるし、そこで負けるようなモチベーションやメンタルでは生き残れない」と実感している。

 そしてそれこそが日本代表にも必要だ、と言う。

「お互いが本当に納得するためには、監督やコーチに言われることを何でもOKではなく、選手ももっと主張しないといけないし、もっと代表内での戦いというか、バトルがあっていいと思うんです。僕はやっぱり代表は強くなければいけないと思っているので、そのためには選手も変わるべきだと思います」

「海外を選ぶことは特別じゃない」

 昨季の代表候補メンバーで海外リーグに属するのは石川、ポーランドでプレーする柳田将洋、古賀太一郎と、フランスでプレーする本間隆太のみ。バレーボール界ではまだ少数の彼らを日本では「海外組」と呼ぶのが現状だ。

 昨季、日本代表で主将を務めた柳田はこう言う。

「海外を選ぶことは特別じゃないし、むしろ石川や自分のように日本の中心とされる選手が属するチームは、そのリーグで下位にいるのが現実です。僕らはそこに身を置くことで、上にいるクラブのすごさ、そしてそこにはイタリア代表、ポーランド代表の主軸を担う選手がたくさんいることを知っている。だからここにどう勝って行けばいいのかと日本代表として考えると、焦りしかないです」

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