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菊池雄星「僕らが続かないと失礼」
筒香の勇気ある発言を孤立させるな。
 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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posted2019/02/14 10:50

菊池雄星「僕らが続かないと失礼」筒香の勇気ある発言を孤立させるな。<Number Web> photograph by AFLO

筒香嘉智を孤立させてはいけない。野球界の歩みを進めるためには、声をあげる選手が必要だ。

菊池雄星「筒香に続かなきゃ」

 そんな中、「筒香に続かなきゃいけないと思う」と手を挙げたのが、今季から米大リーグのシアトル・マリナーズに移籍した菊池雄星だ。

 菊池は、アリゾナ入りして現地時間12日から始まるスプリングトレーニングに向けて自主トレーニングに励んでいた。入団1年目となる今年は、メジャーの洗礼を受ける過酷な1年になるだろうが、その菊池が渡米前にどうしても語っておきたいと、盟友・筒香の行動について口を開いたのだ。

 菊池と筒香は1991年生まれの同学年だ。

 高校時代からともに注目を浴びてきた2人だが、甲子園で顔を合わせることはなかった。それでも菊池は「僕は高校1年生で甲子園に出ましたけど、そのあとスランプが訪れました。その間に筒香が甲子園で活躍しているのを見て、焦る気持ちが生まれた」と話している。強烈なライバル意識を持ったわけではないが、同学年は「刺激になる」存在なのである。

 そんな筒香の会見を、黙って見過ごすわけにはいかなかったというわけである。

野球界のために、他人事ではいけない。

 菊池はいう。

「(外国特派員協会での)会見を見て思ったのは、勇気があるなというのがまず1つです。おそらく筒香の意見に対して、批判というか、反対意見もあると思うんです。プロは結果が全ての世界ですし、そこをついてくる人もいる。

 更に言えば筒香も僕も、いろんな指導者の方々にお世話になってきました。それを考えると、躊躇する部分があるはずです。でも、筒香はいろんな意見があるのを前提として発言していると思うんです。それはよほどの使命感がないとできないこと。野球界のために表に立ってやっているので、僕らが続かなきゃなと思いました。他人事じゃいけない」

 菊池もプロ入り以来、野球教室には積極的に参加してきた。また、地元の岩手では自らのグループが主体となってシンポジウムを毎年のように開催している。トークショーをはじめ、野球肘検診、野球未体験児への遊び場の提供などだ。

【次ページ】 観客動員は増えていても……。

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