思い切ってやれば行ける。

　初めての全日本優勝という経験は、終わったあとの心境に影響をもたらした。

「全日本で優勝できて、思い切ってやれば行ける、とけっこう自信がつきました。世界一へ向けて本気になれるようになりました。もちろん、ロシアの人たちは強いし、日本にも安定感のある選手、トリプルアクセルを跳ぶ子もいます。でも、自分はやるべきことをちゃんとやれば点数が出ると思えたし、恐れず、思い切り行こうと思うようになりました」

　もちろん自信ばかりではなく、もっと上に目を向けている。

「ショートは完璧でしたが、フリーは完璧ではなかった。なのにあれだけ点数が出たのだから、自分はもっと点数が出る、と思った。もっと伸びしろがあると思えた試合でした」

　ここからシーズン後半は、大きな国際大会を控える。

「四大陸選手権は昨年に続いて連覇できるように。世界選手権は初めてですが、表彰台に立てるように」

全試合で表彰台に立ちたいです。

　さらにシーズンをまたぎ、2019年全体を見通して語る。

「シニアに上がってから、国内の最初の夏の大会とかはあまりいい成績を残していないんです。今年（来シーズン初頭）は出遅れがないようにいいスタートを切りたい。今シーズンはファイナルで4位に終わってしまったので、それも含めて、全試合で表彰台に立ちたいです」

　平昌五輪出場から1年近くが経った今、学校で見知らぬ生徒から声をかけられることも珍しくないように、広く知られる存在になった。

「自分、そんな人だったっけ、みたいに思うことはあります。でも、頑張ってきたのはたしかなんだなって実感します。注目されてプレッシャーになること？　ないです。応援されると、力になるんです」

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