オリンピックへの道BACK NUMBER
殻を破ったフィギュア坂本花織。
「私は世界一になりたいんです」
posted2019/01/20 10:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takaomi Matsubara
年明け、「名古屋スケートフェスティバル」出演を経て、坂本花織は穏やかな笑顔を見せる。
「年末年始は家族と過ごしました。年末はお姉ちゃんととお母さんとおせちを作ったり、年が明けて初詣に行ったり。2番目のお姉ちゃんは結婚して家を出ちゃっているんですけれど、帰ってきたので家族全員がそろって」
昨年12月の全日本選手権で同大会初優勝を果たし、初めての世界選手権代表入りも決め、1年をよい形で締めくくっての新年だった。
あれから約2週間。あらためて振り返れば、全日本での演技が示したのは着実な進化、そしてメンタルの強さだった。
「完璧でした」と言うショートプログラムで2位につけ、臨んだフリーでも大きなミスのない演技を披露し152.36点。国際スケート連盟非公認ながら大幅に自己ベストを更新すると、総合でもやはり自己記録更新の228.01の高得点をマークした。
「どっくん」が目で見える?
しかもフリーは、高得点をたたき出す選手が相次ぎ、屈指のハイレベルの争いとなる中、最終滑走で迎えることになった。おのずと重圧はかかる。
「正直、最終滑走は苦手ですし、めっちゃ緊張しました。鼓動が聞こえてくるし、なんて言えばいいんだろう、『どっくん』というのが目で見えるんです。いや、なんか言葉が変ですね。目も動く感じがして」
緊張感をそのように表現したが、プレッシャーに敗れなかった。
「曲が流れたら、落ち着けました」
平昌五輪代表のかかった2017年の大会も最終滑走から代表をつかんだ。2年続けて、重圧をはねのけたのである。