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新人王資格を残してのロッテ2年目。
安田尚憲に全国区スターの期待感。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/01/21 10:00
年明け早々、母校・履正社高のグラウンドでバットを振る安田。
大谷のような分かりやすさを。
語弊は承知だが、現在の千葉ロッテには一般層に知れ渡ったスーパースターがいない。
一昨年の春のこと。千葉市内の少年野球チームを招待し、内野自由席を開放するイベントを開催したが、子どもたちの視線は当時、対戦相手の北海道日本ハムでプレーしていた大谷翔平(現ロサンゼルス・エンゼルス)に向かっていたほどだった。
少年たちが憧れを抱く最大のポイントはやっぱり「分かりやすさ」だ。
「誰よりも速い球を投げる」
「誰よりも遠くへ打球を飛ばす」
そんな選手たちの姿に少年達は憧れを抱き、自分の夢を重ね合わせる。そこに人としての魅力も重ねられればなお最高だ。
藤原、平沢との切磋琢磨。
今年、千葉ロッテには未来のスーパースター候補・藤原恭大が入団した。
安田、藤原に今年、プロ4年目を迎える平沢大河を含めた3人が、期待通りの成長を見せれば、黄金期の到来も夢ではない。あのとき、他球団の選手に向かっていた少年達の視線も地元チームに向かせることができるだろう。
そんな千葉ロッテの未来のアイコンと言うべき存在、それが安田尚憲だ。
ある日の練習後、彼を待っている記者2人の姿を見かけると彼は自分から声をかけてきた。
「何か話すこととかありますか?」
その瞬間、まだ19歳とは思えない自覚と懐の深さとを感じたものだ。何も技術面だけじゃない、一人の立派な社会人として尊敬される存在へ。
大砲不在、スーパースター不在の千葉ロッテの現状を変えられる素質と器量。安田にはそれが備わっているようにも思える。元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜氏や横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智を目標に掲げるのも頷ける。
そんな彼らにいつか「追い付き、追い越せ」。
プロ2年目、今年20歳を迎える2019年の安田尚憲をそんな視点で見ていこうと思っている。