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『逃げ』
パズルを解くような論理展開。
ロードレース全日本選手権の記録。
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![津村記久子](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
津村記久子Kikuko Tsumura
photograph bySports Graphic Number
posted2019/01/11 07:00
![『逃げ』パズルを解くような論理展開。ロードレース全日本選手権の記録。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/e/350/img_0e376dcdf16737dfc1da5acd15dc8e73147456.jpg)
『逃げ』佐藤喬著 小学館文庫 570円+税
海外のサイクルロードレースはよくテレビで観ている。風景は興味深いし、スタートしたらとにかくゴールまで走るという直線性も、自分が観るのに向いている。牽制もマッチアップも、他の選手を絶望させる強烈なアタックも、すべてある地点からある地点に向かう途上で行われる。百人以上の選手が同じスタートラインに立つ、というのも非常に特徴的だと思う。対戦競技ならその試合についての思惑は大きく分けて二つだが、ロードレースはチームの数だけ存在する。さらに言うなら仲間の数だけ事態は複雑化する。
「自転車は集団で固まって走ると体力の消耗が少ない」ということをまず大前提として、その集団から抜け出して先行し、勝利を狙うなり、仲間がやってくるのを待つなりする、という作戦があって、それを「逃げ」という。本書はその「逃げ」で勝負が決まった二〇一四年の全日本選手権のレースを、スタートからゴールまで詳らかにする。
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