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琴奨菊は相撲史に残る貴重な存在。
大関陥落した力士の苦闘の歴史。
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph byKyodo News
posted2019/01/12 10:00
現在の琴奨菊は、相撲の歴史に残るほどに希少な存在である。羨ましいほどの力士人生だ。
この年齢で同期3人が集まった奇跡。
初場所直前に琴奨菊は、同期の稀勢の里・豊ノ島と稽古したのだという。ここ2年、三者三様に辛酸を舐めている。若い頃出世を争った彼らが集い、様々な想いを抱きながらあの頃のように汗を流す。昔であればこれほどベテランの同期など誰も残っていなかったかもしれない。
だが今はそうではない。共にもがく仲間がそこにいるのだ。こんなところにも負けられない理由がある。幸せな時代だと私は思う。
3年前は、初優勝。
2年前は、大関陥落。
今年の琴奨菊は、どんなドラマを残すのか。稀勢の里の進退も、貴景勝の大関取りも気掛かりだが、かつて歴史を作った元大関の奮闘に期待したい。