球道雑記BACK NUMBER
ドラフトまでに絶対覚えて欲しい!
“白鴎大のラミレス”とは何者だ。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2019/01/13 08:00
大山悠輔(阪神)や高谷裕亮(ソフトバンク)を輩出した名門・白鴎大の新主将に就任した、ラミレス・レンソ三塁手。
なぜ黒宮監督は彼をキャプテンにした?
そんなラミレスについて、白鴎大・黒宮監督はこう話す。
「あの場面、あの子(ラミレス)で終わって良かったんだと思います。変な話ですけど、自分は神様がそうさせてくれたんだと思うんです。あそこで打ってくれるのが、もちろん一番です。でも、打てなかったこの結果も、これはこれでありなんじゃないかって思っているんです。なぜかって、このチームは来年のチームなので。
こんなことを言うと4年生には本当に申し訳ないと思うんですけど、やっぱりこのチームは今の3年生が主体のチームです。ラミで終わって、ラミが『悔しい、打てなくて申し訳ない』とあそこで思うこと。今後を見据えたらこの結果もありだったのかなって思うんです」
この冬、黒宮監督はラミレスをキャプテンに任命した。
明治神宮大会出場まであと一歩と迫りながら、自身の打席でその道が途切れてしまった、あの場面を糧にして、ラミレスが選手として、もう一枚も二枚も皮が剥けるようにと期待した。
実力、人間性ともに一目置かれる存在。
今季の白鴎大学はラミレスの他にも、投手の中村伊吹、内野手の大下誠一郎、外野手の金子莉久と、プロや社会人チームのスカウトが注目する逸材が多く揃っている。その分、アクの強さも人一倍だが、そんな個性派集団をまとめられるのも、実力的にも、人間性的にも一目置かれるラミレスだからと言えるのではなかろうか。黒宮監督がこう話す。
「あの子はムチャクチャ優しいんですよ。キャプテンにした理由もそこなんですけど、人間性が悪ければ本来であれば周りから否定されると思うんです。でも、誰も彼がやることに反対しなかった。
なぜかと言うと彼はチーム内で一番優しい。どの部員に対してもコミュニケーションがとれるし、けっして怒らないんです。その上、大下という絶対的な実力を持つ人間に対しても『やめろ』と言うことができる」
実力がモノを言う世界でも人間性を否定されると途端に上手く回らなくなるのが組織というものである。その点、ラミレスはそんなことはしない。
普段は物静かで、言葉数こそ少ないが背中でものを見せるタイプとでも言うのだろうか。誰よりも練習をして、人一倍に下働きも率先して行うという。