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武豊「思い出に残る有馬記念です」
オジュウチョウサンが見せた奮闘。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2018/12/28 07:00
有馬記念は9着に敗れるも、大健闘のレースをしたオジュウチョウサンと武豊騎手は拍手で迎えられた。
ラスト200mまで見せ場を作る。
しかし、実際にはそんな裏技を披露しなくてもオジュウチョウサンは十二分に見せ場を作ることになる。
まずはスタート直後。好発を決めると、ハナへ行く構えを見せる。その後は、「石神君が障害レースで教育してくれていたお陰で乗り易い」というパートナーを折り合わせ、好位に控えた。
さらには3コーナーからいち早く動く構えを見せると、ラスト200mでも2番手争いに加わって場内を沸かせてみせた。最後は失速し9着に敗れたものの、上がって来たオジュウチョウサンと武豊騎手はまた一段と大きな拍手で迎えられたのだ。
「自分がしたかったレースができました。馬の状態が良かったので、直線を向いた時には『オッ!!』と期待を持てる手応えがありました。ナイストライです。思い出に残る有馬記念になりました」
レース後、そう語った武豊騎手は頑張って走る鞍下の姿勢に感動すら覚えたと続けた。
もっとやれば通用する。
また、和田調教師は「連勝が止まったのは残念だけど」と口を開くと、次のように続けた。
「平地の一線級と戦うのは初めてだったけど、見せ場を作り、もっとやっていけば通用するのではと思える内容でした」
当日発売された有馬記念グッズでオジュウチョウサンのそれは最も多く売り上げ、早々に売り切れとなったという。馬券も前日発売では2番人気。発走直前までその人気をキープし、最終的には5番人気となったものの、それでもサトノダイヤモンドやシュヴァルグラン、ミッキーロケットら多くのGIホースよりも支持された。
大注目を集めたオジュウチョウサンは、有馬記念出走という一応の目標は達成し、今後の動向がさらに注目される存在となった。果たしてこれからも平地に専念するのか、はたまた障害戦に戻るのか。改めてその行方を見守りたい。