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曹監督「勝てないのは楽しくないよ」
湘南は勝つためにスタイルを貫く。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/01/03 10:30
勝利のためにこそスタイルを貫く。湘南には理想的な好循環ができあがっている。
苦手の相手から次々と勝点3。
成長を感じさせる勝利もつかんだ。4月7日の第6節で、鹿島アントラーズに2-1で競り勝った。'16年のJ1で連敗を喫し、通算でも7勝1分16敗と大きく負け越していた相手から、勝点3をもぎ取った。
4月25日の第10節では、J1リーグ戦で過去8戦連続未勝利(1分7敗)だったガンバ大阪を1-0で下した。2点目を取りきれないとの課題は残ったものの、しぶとくつかんだ勝点3である。
3日後の第11節でも、劣勢のデータを覆す。J1リーグ戦で'97年から1分12敗の浦和レッズを、1-0で退けたのである。
レッズはオズワルド・オリヴェイラ監督が就任したばかりで、チームの再建途中だった。相手のチーム状況は良くなかったが、ベルマーレからすると予想の立てにくい試合だった、と言うことができる。レッズには11月の再戦でも2-1で勝利し、4月の勝利が時機に恵まれただけではなかったことを証明してみせた。
湘南スタイルはタテだけじゃない。
リーグ戦と並行して行われたルヴァンカップでは、頂点まで駆け上がった。ヴィッセル神戸、サガン鳥栖、V・ファーレン長崎とのグループステージを2位で勝ち抜くと、ノックアウトステージではベガルタ仙台を2試合合計4-3、前年覇者のセレッソ大阪を同5-2で退け、柏レイソルとの準決勝はPK戦の末に勝利をつかんだ。
横浜F・マリノスとのファイナルは、前半36分の得点を守りきった。「湘南スタイルと言われるものはタテに速いだけじゃなくて、最後しっかり身体を張って相手のシュートをブロックするということも含めて包括的なもの、もしくはもっと原則的なものだと思っています」とは試合後の曹監督だが、クラブ創立50周年の節目を彩る24年ぶりの3大タイトル獲得は、サッカーの原理原則を徹底的に突き詰めた結実と言うことができた。
2018年はオフザピッチの環境整備も進んだ。4月にRIZAPグループが経営に参画し、ダイエット事業で培われたノウハウが選手のパフォーマンスやコンディション向上に生かされている。'18年からの3年間で少なくとも10億円の投資も約束されており、資金的にもJ1で継続的に戦っていける準備が整ってきた。