オリンピックへの道BACK NUMBER
全日本5連覇がかかる宮原知子の、
「もっと強くなる」という信念。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2018/12/18 11:45
リセットのシーズンと位置づけたからこそ、5連覇に挑戦する宮原知子の演技は見逃せないものとなる。
何度も口にした「悔しい」。
そういった日々を過ごし、シーズンが開幕するとUSGPクラシック、スケートアメリカと優勝を果たした。続くNHK杯は2位で、GPファイナル進出を決めた。
ただ迎えたGPファイナルは6位にとどまった。
課題としていたジャンプでの回転不足などで技術点が伸び悩んだことが響いた。NHK杯、ファイナルで宮原からは何度も「悔しい」という言葉が聞かれた。
宮原は日本人選手最上位でなかったことについて問われると、NHK杯後に「あまり深く考えたことはないですけど、負けは負けなので悔しいです」、GPファイナルの後にも「落ち込むというか、悔しい気持ちです。それは順位よりも、自分の演技に対してという感じです」と語っていた。
第一人者と目されているからこそ、何度も結果に対しての質問が出る。また、チームメイトである紀平梨花に対する気持ちも繰り返し問われる。
「もっと強くならないと」
宮原自身も大会での結果、そして完全な演技ができなかったことに悔いを持っている。ただ一方で、こうも語っていた。
「終わってから思い返してみると、かなり緊張していたのかなと感じました。ただその中でも去年よりは底上げされたのかなと手ごたえはあります。とにかく自分のできることに集中して、もっと強くならないといけないと思います」(NHK杯)
「一歩進んで、また一歩下がってと、そういう状態を繰り返していますが、それでも少しずつ前に進んでいるんじゃないかなとは思っています」(GPファイナル)
そこには、自身の歩みに対する信念がうかがえた。