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伊藤美誠が選ばれた権威ある表彰。
他者からの刺激を力に変える能力。
posted2018/12/17 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
12月12日、国際卓球連盟が年間表彰式を開催した。
伊藤美誠は、今年1年で最も活躍した選手に贈られる「スターアワード」に中国の丁寧ら3名とともにノミネートされ、惜しくも受賞を逃したものの世界選手権団体戦のMVPに特別表彰された。
「びっくりしています。ベリー、ハッピー」
物怖じすることなくそう笑顔いっぱいで挨拶したが、2018年の伊藤は、スターアワードを受賞してもまったく不思議ではない活躍を見せた。
皮切りとなったのは、1月の全日本選手権。
シングルスで初優勝を遂げたほか、ダブルス、ミックスダブルスも優勝。女子史上最年少での3冠を達成した。
日本が銀メダルを獲得した5月の世界選手権団体戦では、日本選手を相手に37連勝と無敵を誇っていた劉詩ブン(中国)を決勝で破るなど、8戦全勝と圧倒的な存在感を見せて国際舞台で成長を見せつけた。
白眉は11月のスウェーデンオープンだ。準々決勝で劉詩ブン、準決勝では丁寧に連勝して決勝に進出した伊藤は、世界ランク1位の朱雨玲(中国)を4-0と一蹴して優勝したのである。
中国選手にマークされることも「うれしい」。
中国のトップ3選手を破った伊藤の存在は、世界の卓球界に衝撃を与えた。むろん、中国でも大きな反響を呼び、「大魔王」と記すメディアもあったほどだ。
その大会で「すごく対策されている」と感じた伊藤は、「でも私にとってはすごいうれしいことです」と語っている。
「対策を練られても自分のプレーを出し切って勝てれば、私ももっと上にいける。もっともっと対策を練られて、もっと強くなりたいです」
そこには、自分の可能性を信じるからこその積極性があふれていた。