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全日本プロレスの「世界最強タッグ」。
ガンから復帰・優勝した男の物語。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/12/13 16:30
重量感たっぷり、パワーも凄い! 全日本プロレスのマットで久々に外国人レスラーの存在感が炸裂した!
全日本で大きな存在感を見せた2人。
ドリー・ファンク・ジュニア&テリー・ファンクの人気、スタン・ハンセン&ブルーザー・ブロディのミラクルパワーには及ばないが、ドーリングたちは全日本マットに“ガイジン・レスラー”ありを証明することになった。
決して2人の連係がタッグチームとして優れているようには見えなかった。
ニュージーランド出身のジェイムスのパワーは認めるが、粗削りで逆転のラリアットが光った以外は目立つ存在でもなかった。ただ、ドーリングからもらったチャンスをものにしたラッキーな男、というのが素直な印象だろう。
ジェイムスはパートナーに指名してくれたドーリングに感謝しているはず。実際、運というものもすごく重要だから、この優勝がジェイムスにとって飛躍のターニングポイントになればいいな、とも思う。
闘病生活を支えた、ファンからの旗。
一方の大将のドーリングは、優勝を1人でじっくりとかみしめていたように見えた――。
脳腫瘍が見つかった時、ドーリングへファンから贈られた、たくさんの寄せ書きがある“Evolution”という旗があった。
そこには、「ジョー、待ってる」「がんばれ!」「早くよくなって」「カムバック!」という励ましの言葉が、日本語と英語でたくさん書かれていた。
それら多くの温かいメッセージに勇気づけられ、ドーリングは放射線治療と化学療法でガンの治癒に臨んだのだ。