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全日本プロレスの「世界最強タッグ」。
ガンから復帰・優勝した男の物語。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/12/13 16:30
重量感たっぷり、パワーも凄い! 全日本プロレスのマットで久々に外国人レスラーの存在感が炸裂した!
何度もタイトル奪取したドーリング。
有望な選手が現れたものだと思った。
ドーリングはその実力と人気に見合うだけのパワーという魅力も持っていて、すっかり気に入った武藤が、タッグパートナーに指名したのだった。
さらに2013年には、諏訪魔と組んで2回目の最強タッグリーグ優勝を果たしてもいる。
結局ドーリングは、世界タッグのタイトルを4回奪い、三冠ヘビー級王座も2014年に諏訪魔を倒しすことで獲得するまでに成長した。実際、その強さは本物だったのだ。
だが、ドーリングは2016年3月に、医療検査で見つかった悪性脳腫瘍(脳にできたガン)の治療で全日本から離れてしまった……。
パワーで日本人タッグを押し切った!
それから約1年後。
2017年1月、ドーリングが約束通り全日本に帰ってきた。
以前のパワー全開のファイトにはまだ及ばないが、ファンの声援を受けて、復帰後も奮闘し続けてきた。
この日の「決勝戦」も、もっと全日本らしい戦いになることを期待していたが、期待が大きすぎたのか、ど派手な肉弾戦とまではいかなかった。諏訪魔&石川組もなぜかそれまでの勢いを欠いていたように見えた。
諏訪魔たちは一度はダブルラリアットや絞め技でドーリングらを追い込んだのだが、結果的にはパワー負けした格好になった。
最後はジェイムスが、石川をラリアットの連発とチョークスラムからの片エビ固めで沈めた。
結果、ドーリング&ジェイムス組は初優勝。ドーリング個人では3度目の優勝となった。
記録的には、ババ・レイ&ディーボン組以来、外国人チームとしては13年ぶりの優勝となったのだ。