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「応援には結果で応えたいと思っている」
女王・野中生萌のまっすぐな“野望”。 

text by

津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

PROFILE

photograph byMiki Fukano

posted2018/12/14 11:00

「応援には結果で応えたいと思っている」女王・野中生萌のまっすぐな“野望”。<Number Web> photograph by Miki Fukano

人間性を含めた最強クライマーに。

「オリンピックで金メダル」と目標を公言する野中は、アジア選手権の期間中は、ゲスト出演したTV番組が毎朝放送されたことで、観戦の小中学生から数多く声をかけられた。ただ、それをストレスに感じないメンタリティーも、野中の強大な武器だろう。

「応援には結果で応えたいと思っているだけなので、ストレスはあまり感じません。それと私は、大会の成績やクライミング能力、岩場での高難度課題だけではなくて、人間性の部分を含めた “最強”のクライマーを目指していて。挫けそうになることは何度もあるんだけど、登れたときの達成感は凄いし、大会ならそれを観てくれていた人たちの反応が鳥肌が立つくらい最高で。それを思い出すと、目の前の課題のこと以外は頭から消えちゃうんですよね」

 東京五輪を見据えて新設されたコンバインド・ジャパンカップや2年に1度の世界選手権があったことで、例年以上に大会があった今シーズンの幕が下り、選手たちは束の間のオフを満喫していた。そのなかにあって、野中生萌は世界選手権で負った右肩の故障ともうまく向き合っているようだ。

「去年はオフシーズンに姉と一週間ほど北海道に旅行してグルメを楽しんだのですけど、今年はリハビリとかで長くは休めなくて。本当は気分転換に海外の岩場に行きたいけど、今年は近場で日帰り旅行するくらいですね」

 そう語る野中の表情には、気負いはない。

「今はまだ肩への負荷が強い練習はできませんが、それ以外の課題は練習で登れているので、少しづつ焦らずにやっていくだけです。それに私は自分が登れなくても、他の人が楽しそうに登っているのを観るのも好きだし、そこから気づくこともあるので勉強になっています」

 来シーズンは1月26日・27日に駒沢オリンピック公園屋内球技場で行われる『第14回ボルダリングジャパンカップ』からスタートする。肩の故障を乗り越え、新たに手にする“強さ”で、彼女はどんな輝きを放つのか。来季も野中は、つねに優勝という「頂」を目指し続ける。

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