イチ流に触れてBACK NUMBER
日本での開幕戦でスタメンが濃厚。
イチローの「その後」が楽しみだ。
posted2018/12/02 11:30
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
早いもので今年も師走の時期を迎えた。
野球界の師走と言えば、ストーブリーグ真っ盛り。フリーエージェント選手の獲得、トレード交渉とまさに各球団の編成担当責任者は忙しく走り回る時期となる。
このオフはナショナルズからFAとなったブライス・ハーパー外野手(26歳)やドジャースからFAのマニー・マチャド内野手(26歳)が史上最高額契約を勝ち取ると見込まれる中、マリナーズが主砲であるロビンソン・カノ内野手(36)のトレードを画策するなど、各球団のGMや編成担当責任者たちの動きは携帯電話を片手に慌ただしさを増している。
12月3日には西武からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す菊池雄星の申請も行われ、ストーブリーグはまさに本番となる。
そんな中、このオフにフリーエージェントとなったある日本人選手の契約が12月を迎えるまでもなく、11月の初旬に早々と決定した。
「来年の春キャンプには招待選手として参加する。キャンプでは若い選手とともにメジャー40人枠を争うことになるが、日本開幕戦にはメジャーリーグのロースター選手として行くことになる。彼にはチャンスをあげたいと思っている」
彼とは、歴代23位の3089安打を放っているイチロー。5月3日、今季の現役から退き、球団会長付き特別補佐の肩書きに変わったが、その立場も10月31日を持って契約は満了。立場はフリーエージェントとなっていた。
そのレジェンドに対し、マリナーズのジェリー・ディポトGMは11月6日、カリフォルニア州カールズバッドで行われたGM会議の場で早くも来季の契約を報道陣に発表したのだった。
来季開幕戦でのスタメン起用を示唆。
3カ月半後に始まる春キャンプの招待選手をこの時期に発表することが異例であれば、開幕ベンチ入りのプランを発表することなど通常はあり得ない。その上でディポトGMは3月20日、21日に東京ドームで行われるアスレチックスとの開幕戦でスタメン起用する可能性にまで言及した。
「開幕戦で4安打出来るかはわからないが、彼はすでに素晴らしい準備ができている」
2012年に凱旋した日本開幕戦で4安打を放った事実を引き合いに出しながら、よどみない口調で話す姿はリップサービスだけには感じられなかった。