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京田をどうする?根尾昂を当てた
与田監督が問われるマネジメント術。
posted2018/11/22 08:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
大阪桐蔭の根尾昂を1位指名した4球団のうち、抽選箱に最初に右手を差し込んだのは中日の新監督・与田剛だった。よく言われる「残り福」ではなくまさに引き当てたのだ。
何枚かの封筒をまさぐった末につかみ取った金の卵との「交渉権」。その右手を高々と挙げた瞬間から、与田監督に問われているのは、根尾をいかに育てるかというマネジメント術である。
元監督の落合博満氏がテレビ番組で「オレならセンターで使う」とコメントしたり、当サイトでも安倍昌彦氏が連載『マスクの窓から野球を見れば』で強く捕手での起用を提唱した。中日でも一時は投手と遊撃手の二刀流の可能性を模索していたが、どの考えにも一理ある。
要するに根尾の才能はどんなポジションにも対応可能だということだ。ただし、この起用問題に関してはすでに結論が出されている。根尾本人の「ショート1本で勝負したい。投手に未練はありません」という要望を球団も承諾。プロ入り後は遊撃手としてスタートを切る。
根尾が入って京田はどうなる?
新監督のマネジメント術が問われるのはその先である。背番号7をつけ、颯爽とゴロをさばき、矢のような送球でアウトにする。高卒であっても期待は即戦力。そんな根尾の姿を想像するファンも多いことだろう。そして、ふと気づく。
「京田はどうなるの?」
そこなのである。根尾を使うにしても、使わないにしても日本中の注目が集まるのは間違いない。「プロ野球なんだから実力の世界でしょ」というのはもっともな意見だが、ことはそう簡単ではない。
鳴り物入りの野手が入団したときに、現場を預かる監督はどう動いたか。中日には根尾と同じ遊撃手で2つの事例がある。まずは1988年に入団した立浪和義(PL学園)だ。