スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
遅刻魔デンベレはバルサのお荷物?
プジョルから届いた、愛ある説教。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byUniphoto press
posted2018/11/18 11:00
そのスピードはドルトムント時代から圧倒的だったデンベレ。才能を生かすために、人間性も高めてほしい。
1億ユーロを費やしたのだから。
「彼はまだ若く、これから成長する選手だ。誰にでも若い頃はあり、過ちを犯すもの。自分たちはその経験から、フットボールは24時間続くものだということを彼に教えていかなければならない」
すっかり問題児としてのイメージが定着してしまったデンベレについて、ジェラール・ピケはベティス戦後のミックスゾーンでそうフォローしていた。
彼の意見は正論だが、物事には限度がある。もしここまでだらしない人間だと分かっていたのであれば、クラブは彼を獲るべきではなかったと思う。
ただ契約してしまった以上、クラブも責任を持って彼を教育すべきだろう。何せ彼の獲得には1億ユーロ以上の移籍金を費やしているのだ。
デシャン監督からもチクリ。
ベティス戦の翌日には、フランス代表のデシャン監督が教え子について口を開いた。
「ウスマンには少し遅刻癖がある。その言い訳はいつも『自分だけじゃない』だ。クラブでも代表でも、彼はもう少しトップレベルの選手として日々の行動に注意を払う必要がある。できるだけ早く改善してもらいたいが、そうでなければ違う形で理解させるつもりだ」
デンベレは代表でも遅刻の常習犯であるだけでなく、ロシア・ワールドカップ中に覇気のない練習態度を見せたことでデシャンの怒りを買い、準決勝と決勝で1分のプレー時間も与えられなかった“前科”がある。
この発言は、改心を期待して今回も招集したデンベレに対する「最後通牒」のようなものだろう。
デンベレの才能は誰もが認めている。だがどれだけ優れた才能を持った選手でも、無限にチャンスを与え続けられるほどプロの世界は甘くない。