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遅刻魔デンベレはバルサのお荷物?
プジョルから届いた、愛ある説教。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byUniphoto press

posted2018/11/18 11:00

遅刻魔デンベレはバルサのお荷物?プジョルから届いた、愛ある説教。<Number Web> photograph by Uniphoto press

そのスピードはドルトムント時代から圧倒的だったデンベレ。才能を生かすために、人間性も高めてほしい。

スアレスらも、さじを投げた?

 そのベティス戦でもスタンドに姿を現したのはキックオフの5分前で、ハーフタイム後は後半開始から3分以上経過してから席に戻ってくる様子がテレビカメラに捉えられている。

 これでは反省の色が感じられないと言われても仕方ない。

 こうした状況下、イングランドではリバプールが来年1月にも1億ユーロ以上の移籍金を用意してデンベレ獲得に動くとの情報も出てきた。

 この情報を受け、地元メディアがウェブサイトで行なったアンケートでは、「1億ユーロでリバプールにデンベレを売るべきか?」との質問に対して「イエス」の回答が69%近くを占めた。

 その後もデンベレ絡みの報道は後を絶たず、フランス紙レキップは一面で「デンベレの危機」と題し、ルイス・スアレスら一部のチームメイトもさじを投げはじめたと報道。

 ドイツ紙ビルトには、デンベレがドルトムント時代に住んでいた家の家主が約2万ユーロの賠償金を請求したとのニュースも出た。同紙に綴られた家主の証言は衝撃的なものだ。

 いわく「至る所にゴミや残飯が散乱していた。床はシミだらけで、冷蔵庫の中には腐った食材、クローゼットには使い古しのビニール袋、玄関には未払いの請求書が山積み。退去時には契約期間も守らず、鍵も返してくれなかった」という。

 これが真実ならば、もはやプロ意識云々ではなく、人として問題があるレベルである。

常時デンベレの生活を管理。

 このような状況下、クラブはデンベレの代理人と現状について話し合いの場を持った。

 1時間半に渡った話し合いでは、ピッチ上での集中力を欠くプレーに加え、日常生活でも遅刻や不摂生を繰り返すことで悪いイメージが定着し、周囲が我慢の限界に達しようとしている現状がクラブから代理人に報告された。

 そのうえでクラブは、代理人ら保護者の立場にある人間が常時デンベレの生活を管理できる体制を作り、彼が時間を守り、不注意をなくし、チームメイトや監督スタッフとより積極的にコミュニケーションをとり、スペイン語もしっかり習得するよう要求したという。

 まるで問題児を巡り、保護者と担任教師が話し合う学校の個人面談のような内容である。

【次ページ】 1億ユーロを費やしたのだから。

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