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岸孝之と上沢直之がMLBを翻弄。
カーブの有効性と五輪での使用球。
posted2018/11/12 16:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
連勝で沸いた日米野球の東京ラウンド。
第1戦のサヨナラ弾に第2戦の2戦連発を含む4安打というソフトバンク・柳田悠岐外野手の活躍はもちろん、初戦で3点二塁打、第2戦でも3安打を放った西武・秋山翔吾外野手の国際試合での勝負強さにも痺れた。
日本シリーズMVPの勲章を引っさげて代表入りしたソフトバンク・甲斐拓也捕手は、第1戦で2安打と打撃をアピール。広島・菊池涼介二塁手と息のあったコンビネーションを披露して打撃でも見せた西武・源田壮亮遊撃手など侍ジャパンの新しい力も感じられた3試合だった。
その中で1つ、大きな収穫と言えるのが1、2戦に先発した楽天・岸孝之投手、日本ハム・上沢直之投手とカーブを武器にする両投手の好投だった。
フライボール革命への対抗策。
ここ数年のメジャ―の投手は「カーブの時代」だと、このコラムでも何度か書いてきた。
トラックマンやスタットキャストなどの普及で打球解析が進み、バッターの間ではこれまでの強いライナーやゴロを打つ打撃から、アッパースイングで打球を上げる“フライボール革命”が普及。昨年のヒューストン・アストロズのワールドシリーズ制覇をきっかけに、全米を席巻するムーブメントとなって波及している。
その一方でこの“フライボール革命”に対抗する投手たちの武器が、カーブだったのである。
アッパースイングの軌道に対して横に動くスライダーやカットボールはバットの面で対応される。しかし縦の変化は点でしか対応できずに空振りを取れる有効な球種という認識だ。
もちろんスプリットやツーシームなどの縦の変化系の球種も同様に有効だが、米国では「トゥウェルブ・シックス」と時計の文字盤に例えられる縦に大きく割れるカーブは、変化量も一番大きくアッパーに振ってくるスイング軌道には最も有効という考えが出てきているわけだ。