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小平智「まだ18歳くらいの感じ」
米ツアー2年目の目標はまず2勝目。
posted2018/10/11 07:30
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
ここ最近の誕生日は毎年、愛妻がパーティを開いてくれるそうだ。
夫人の古閑美保さんをはじめ、近しい関係者や、学生時代にゴルフで競い合った旧友たちが、今年も記念日を祝ってくれた。
9月11日、小平智は29歳になった。
「あと1年で30歳だなあって。こんな日がいずれ来るとは思っていたんですけど、いざ目の前にすると変な感じですね。自分のことを、まだ子どもだな……と思っていて。まだ18歳くらいの感じなのに(笑)。18歳の頃に“30歳”と聞いたら、『まあまあ、おっさんだな』なんて思っていた。だから僕も今、18歳の人にはそう思われるんだろうなあ……」
振り返れば、28歳で過ごした日々はまさに激動だった。
昨秋から冬にかけて日本ツアーの賞金王を争い、宮里優作の前に敗れた。年が明けると4月のマスターズを目指して、世界ランキングを上げるべく海外を転戦。春先にフィールドに滑り込み、オーガスタの地を初めて踏んだ。
そしてその翌週、スポットで参戦したRBCヘリテージで優勝。たちまち、日本人史上5人目のPGAツアー勝者という立場に成り代わった。
アメリカで12戦、予選通過は4試合。
突如として主戦場を米国に移し、その後12試合に出場。最高成績は5月のフォートワース招待の20位で、4日間を戦い抜いたのは結局4試合だけだった。
12戦で予選落ち8回。数字だけ見れば、惨憺たるものだ。「優勝した1回しか、(好結果が)なかった感じ」と、悔しい思いでいっぱいだ。
ただ、本人にすれば結果はある程度予見していたところがある。
優勝したことでツアーメンバーに昇格し、実質2年半、2019-20年シーズンまでのシード権を手に入れた。長い目で今後の戦いを見据え、あえて連戦をこなすことを意識したという。
「最初の年はどんどん試合に出て、初めて回るコースを経験した方がいい」というアドバイスを授けてくれたのは、昨年夏まで米ツアーで戦った岩田寛ら。だから「無理をしたところもある。体力面で苦しかった」。シーズン終了間際に“持病”でもある首痛を発症するという締めくくりだった。