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体育会系の上下関係はもう古い。
大学ラグビー帝京と明治の共通点。 

text by

多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byYuka Shiga

posted2018/10/07 08:00

体育会系の上下関係はもう古い。大学ラグビー帝京と明治の共通点。<Number Web> photograph by Yuka Shiga

学年の垣根を越えて笑顔を見せる帝京大ラグビー部のメンバー。過去とは違うアプローチでのチームワーク構築が大切なのだ。

「4年神様、1年奴隷」ではない。

 かつての体育会を象徴する「4年神様、1年奴隷」のピラミッドは、現代の大学ラグビー王者には存在しない。あるのは上級生が下級生を支えていく独自のサイクルだ。

 明治大ラグビー部の転機は、2013年、丹羽政彦監督の就任だろう。

 明治大OBの丹羽監督は、北海道からの単身赴任で選手寮に住み込み、選手の生活スタイルの改善に取り組んだ。厳しかった上下関係は次第に緩やかになり、2016年頃からはさらに風通しが良くなったという。

「1年生は洗濯などで夜遅くなってしまうので、『自分のものは自分で』『1年生に任せっきりではなくて』という風には変わりました。日本一を狙うチームなら、それにふさわしい行動をしていこうと」(大塚健太郎/明治大4年)

明大には新しい縦割り組織が誕生。

 今年度からは部内に「リーダーズ・グループ」と呼ばれる縦割り組織ができた。

 それぞれにリーダーを据えた8グループがともに行動する取り組みで、学年を越えたコミュニケーションが増えたという。リーダーの一人である齊藤剣(4年)は、春時点で「上級生と下級生の仲が良いです」と手応えを語っていた。

 厳しい上下関係がなくなったことによるメリットがあった。下級生がピッチ内で発言しやすくなっているという。

「グラウンドに出たら上下は関係ないと思うので、しっかり言い合っています。そういう部分が良い結果につながっていると思います。言いにくいということはほとんどないです」(高橋広大/明治大2年)

 下級生のこうした積極性は、上級生にとっては健全な刺激だろう。チームの活性化も見込まれるというわけだ。

 丹羽監督の意志を引き継ぎ、今季よりヘッドコーチから総指揮官となった田中澄憲監督。

 早朝4時過ぎに自宅を出て合宿所へ通っている元明治大の主将に、体育会特有の上下関係について、コメントを求めた。すでに過去のものという認識だった。

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