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日馬富士が残した最後の言葉。
「世界を旅して勉強したい」

posted2018/10/03 17:15

 
日馬富士が残した最後の言葉。「世界を旅して勉強したい」<Number Web> photograph by Kyodo News

断髪式で横綱白鵬関(右)にキスされる元横綱日馬富士。

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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Kyodo News

 9月30日、第70代横綱日馬富士の引退断髪式が行われた。台風24号が夜にも上陸するというこの日、交通機関の運休もあるなか、最後の雄姿を目に焼き付けようと、両国国技館では大勢のファンが彼を見守っていた。

 昨年11月、貴ノ岩に対する暴行事件が明るみに出た。日馬富士は11月の九州場所の土俵を3日目から休場し、そのまま場所後に潔く引退を表明する。結果的に、その前場所である9月秋場所での9回目の優勝が最後の晴れ姿となった。以来、ほぼ1年ぶりに国技館の土俵に立ったのだ。

 この時の「優勝一夜明け会見」で紡ぐ言葉に感嘆し、筆者は会見の一問一答を、そのままこのコラムで再現したことがある。(『日馬富士が凝縮された優勝翌日会見。「いい見本と基本になってあげたい』NumberWeb 2017年10月2日)

 そして今回、日馬富士として最後となる記者会見。その言葉のひとつひとつに、またしても「日馬富士らしさ」を見るのである。

 パーティの行われる都内ホテル。30分遅れで、タキシード姿の日馬富士が現れた。国技館からの移動が遅れる報道陣に気遣うことから、最後の記者会見は始まった。

「今日は台風が近づいて足もとの悪いなか……」

「みんな待っておきましょうか。大丈夫ですか?」

――いや、大丈夫でしょう。長い間お疲れ様でした。今の率直なお気持ちは?

「本当にあっという間の18年間で、本当に悔いのない素晴らしい18年間だったと、改めて今日感じました。今日は台風が近づいて足もとの悪いなか、大勢の皆様、後援会の皆様がお越し下さって、本当に胸がいっぱいです」

――大勢の人の前に立つのも久しぶりだったと思いますが?

「相撲とは素晴らしいな、と思いました。相撲を通じて皆様に喜んでいただけて、感動する相撲を、全身全霊の相撲を心掛けて頑張ってきた私ですので、改めて今日、3横綱が揃っての土俵入りするチャンスも与えられて、本当に感謝です」

【次ページ】 「神様から力というものを預けられて」

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