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昨季2位シャルケが開幕5連敗の危機。
なぜ深刻なゴール欠乏症に陥ったか。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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photograph byUniphoto press

posted2018/09/29 10:00

昨季2位シャルケが開幕5連敗の危機。なぜ深刻なゴール欠乏症に陥ったか。<Number Web> photograph by Uniphoto press

開幕5連敗に気落ちするテデスコ監督とシャルケイレブン。ただ巻き返しへまだまだ時間はある。

新司令塔候補ルディの誤算。

 セカンドボールに対する選手の反応も悪く、あえてアバウトなパスを前線に放り込んでからゲーゲンプレスを仕掛けるという戦術的な意図も感じられない。本来なら中盤を経由してサイドから切り崩したいところだが、頼れるゲームメイカーの不在が大きな足かせとなっている。

 司令塔タイプがいないわけではない。今夏にバイエルンから1600万ユーロの移籍金で加入したセバスティアン・ルディは、DFラインから巧みにボールを引き出し、長短を織り交ぜたパスを左右前方へ供給できる実力者だ。

 しかし、チームメイトとの相互理解が進んでいないうえ、相手から狙われやすい影響から精彩を欠いている。試合時間を20分ほど残したタイミングで足がつるなど、フィジカルコンディションも整っていない。

ゴレツカ、マイヤーの穴が大きい。

 そのゲームメイカーが封じられても、力強いドリブルで局面を前に進めていたレオン・ゴレツカがバイエルンに移籍した痛手も特大だ。

 後釜候補である新戦力のゼルダルは指揮官の信頼を勝ち取れず、前述のように5試合中2試合の先発に留まっている。ゴレツカに加え、司令塔のマックス・マイヤー(現クリスタルパレス)が退団した穴が埋まらない限り、中盤を経由した組み立てのクオリティ向上は望めないだろう。

 ビルドアップだけでなく、ネガティブトランジション(守→攻の切り替え)も昨シーズンより悪化している印象だ。

 例えば、第3節のボルシアMG戦では自陣のバイタルエリアでマイボールにした直後、ボールから半径20メートル内にいる7人の脚がピタッと止まっていた。その結果、相手に守備ブロックを作らせる猶予を与えてしまい、最後の30メートルで個人技任せになるシャルケの攻撃が怖さを発揮することはなかった。

【次ページ】 気鋭のテデスコ監督に迷いが。

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